2015.01.01 Thu

Written by EDGE編集部

高校&ユース

『堅い守備で久我山が1点を守りきる』高校サッカー 國學院久我山 1対0 前原

写真:Takahashi Manabu

前回大会で1回戦敗退を喫した地元・國學院久我山は、初戦の緊張からかミスを連発。それでも勝ちを手繰り寄せたのは昨年にはないもう一つの武器だった。(取材・文 篠幸彦)

「いいゲームをやって負けるのがいいのか、悪いゲームでも勝ったのがいいのか、ちょっとわからないところですね」と、國學院久我山の李済華監督は独特の言い回しで試合を振り返った。

前半3分、久我山のCB内藤健太から鋭いロングフィードを受けた1年生ウイングの渋谷雅也が、快速を生かして左サイドをえぐった。グラウンダーのクロスを入れると、ゴール手前でフリーとなった小林和樹がダイレクトで押し込んで早々に先制点をたたき込んだ。

久我山にとって幸先の良いスタートに思えたが、試合はここからこう着状態に入ってしまう。「中盤がひどかった。よくあれだけのミスをするなというくらい」と李監督が語れば、「観客の多いところでやった緊張もあったのか、普段ならミスしないところでミスをすることが多かった」と、キャプテン内藤も自分たちの状況判断ミス、コントロールミス、パスミスの多さによる内容の悪さを語った。

それでも渋谷、飯原健斗の両ウイングの突破だけは冴え渡り、前原の両サイドを幾度となく切り裂いていた。「ある意味、そこだけはよかった」と、テクニカルエリアでいらだつ姿も見せていた李監督も及第点を与えた。

久我山の内容が悪い一方、前原は中盤の前濱和道、安座間聖、當山隆馬、田里駿らの高いテクニックを生かしたパス回しで主導権を握る時間帯を作った。それに対し、「ビデオを見た段階から侮れないと思っていた」と李監督は戦前から予想したどおりだったと話す。

前原のストロングポイントをつぶせるのか、あるいはDFがはがされて裏を取られてチャンスを作られてしまうのか、李監督は試合の争点をそう見ていた。

そして後半、久我山が取った策は3バックから4バックへの戦術変更だった。DFラインを4枚にし、ダブルボランチを置くことで前半から安定していた守備をさらに強固にして1点を守る方向へ舵を切った。

「もう1−0でOK。後半20分あたりから私自身がそういう気持ちになっていた。やっぱり昨年1回戦で負けて私も勝ちたいという思いがあるので」(李監督)と、美しいサッカーを信奉する指揮官が勝負に徹した瞬間だった。

前原はエースの田里にボールを集めようとするも、久我山のコンパクトで球際に強い守備をこじ開けることができない。「とにかくボールを取れなくてもいいから、シュートを打たせないことを意識してやりました」と、内藤を中心とした久我山守備陣の高い集中力は終始途切れることがなかった。

今年の久我山の一つの強みはまさにこの部分だった。昨年ほどの攻撃のタレントはいないながら、チーム一体となった献身的な守備で予選での苦しい試合も切り抜けてきたのだ。「都大会でも相手に支配されることが今年のチームは多かった。そういった経験を積んできたことで焦ることはありませんでした」(内藤)と、内容が悪いながらもしっかりと勝ち切れる力強さが、今の久我山には備わっている。

1−0で見事初戦突破を決めた李監督は、2回戦に向けた意気込みを聞かれると「願わくば今日がいちばん悪いゲームであってほしい」としめた。

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