2016.10.06 Thu

Written by EDGE編集部

Jリーグ&国内

ありがとうFutbol & Cafe mf。有坂店長とともに、4年間の思い出を語る

2016年9月30日。サッカー好きの集まるお店、Futbol & Cafe mf (フットボールカフェ・エムエフ)が、惜しまれつつも終了した。そこで今回は、店長の有坂哲さんと旧知の仲である、フットボールエッジ編集長鈴木が対談を敢行。mfの裏側やサッカーファンと共に歩んだ4年間の思い出を語り尽くした。(文・写真 鈴木智之/フットボールエッジ編集長)

鈴木:mfが2016年9月で閉店されるそうで、長い間お疲れ様でした。僕らが初めて会ったのが5年ほど前で、そのとき有坂さんは石神井高校サッカー部でコーチをされていましたよね。

有坂:そうでしたね。渋谷の『オン・ザ・コーナー』で初めてお会いして、2時間ぐらいずっとサッカーの話をしていた記憶があります(笑)

鈴木:その後、有坂さんがmfの店長になるというのを聞いて驚きました。4年間、色々あったと思いますが、辞められた後はどうするんですか?

 

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有坂:それが全然決まっていなくて(笑)。希望としては中学生、高校生年代の指導に関わりたいと思ってはいますが、日本でやるか、海外でやるかも決まっていません。これから休みも兼ねて海外を旅するので、日本に戻ってきてから考えようと思っています。

鈴木:有坂さんはもともとブラジルやコスタリカに住んでいたり、現地でサッカーをやったりと色々な経験をされていますが、それがmfの雰囲気を作っているような気がするんです。ゆったりとして穏やかで、でも個性的でという。

有坂:そう言って頂けるのは、素直にうれしいです。もともと飲食店の経験が豊富なわけでもなく、居酒屋やファミレスでアルバイトをした程度で、mfの店長になったときも試行錯誤の連続でした。gol.自体も『新しいことをどんどんやろうよ』という会社なので、外での出店やトークイベントなどは、やりながら覚えていった感じですね。

鈴木:mfといえばトークイベント。全部で何回開催されたのですか?

有坂:42回です。平均すると、1ヶ月に1回はイベントをやっていましたね。

鈴木:第1回目のゲストは誰でした?

有坂:SC相模原代表の望月重良さんです。gol.がSC相模原のユニフォームをスポンサードしている繋がりがあったのと、個人的にもクラブを立ち上げた話を聞いてみたかったので、話を持っていったら快く受けてくださって。

 

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鈴木:イベントを始めるときに、どんな雰囲気で、どんなゲストを呼んで…と、色々考えていたと思いますが、実際にスタートしてみていかがでしたか?

有坂:もともと僕は人が好きで、人にすごく興味があるんですね。トークイベントも、僕が色々な人の話を聞きたいと思ったのがきっかけで(笑)。よくある講演会のような形ではなく、気軽にお酒を飲みながら、サッカーの話を聞いて、ワクワクできるような空間にしたかったんです。

鈴木:そうだったんですね。

有坂:1回目の望月さんのときは、MCにケチャップさんという方にお願いをしたのですが、すごく良い雰囲気のイベントになったんですね。こういうイベントにしたかったんだ! と、イメージを固めることができたのは大きかったですね。

鈴木:僕が初めてトークイベントを見に行ったのは、オルテガさんの会でした。

有坂:オルテガさんは、日本での知名度こそありませんが、元アルゼンチン代表でマラドーナと一緒にプレーもされて、ワールドカップ出場の目前まで行った人です。横浜にあるエスペランサのグラウンドに行って話を聞かせてもらったときに、これはもっと多くの人に聞いて欲しいと思い、イベントに出て頂きました。

 

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有坂:いざ告知を始めたら、すごくたくさんの人が来てくれて。お客さんに『mfって、こういう人を取り上げるんだ』と感じてもらうきっかけになったと思います。実際にオルテガさんの回以降、「次は誰がゲストなんですか?」と聞かれることが多くなりました。

鈴木:何年か前に、オルテガさんにインタビューをさせてもらいましたが、サッカーに対する情熱、育成に対する情熱を持っている人ですよね。しかも、選手としてのキャリアを考えれば、いま日本に住んでいる外国人の中でも三本の指に入るぐらい、すごい人で。

 

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有坂:本当に、そのとおりですよね。

鈴木:僕も今年の3月に、京都精華学園サッカー部の越智健一郎監督と、日ノ本学園の田邊友恵監督のイベントのMCとして、出演させて頂いたじゃないですか。

有坂:あのイベントは、お世辞抜きでめちゃくちゃおもしろかったです。鈴木さんのお客さんを巻き込む司会は勉強になりましたし、お二人のお話もすごくタメになりました。

鈴木:それもmfという場のなせる技ですよね。最前列のお客さんとゲストの距離が1mもなくて、一体感がすごいんです。サッカーが本当に好きな人たちが集まって、秘密基地でひそひそ話をしているような雰囲気がある。ゲストとお客さんの間に垣根がないところは、有坂さんのフラットに人と接するキャラクターに通じるものがあると思いますし、それが、イベントの色を作ったんじゃないかなと思います。

有坂:サッカーって、多様性のあるスポーツですよね。人の数だけ考え方や意見があると思いますし、同じものを見ても、話してみると違った意見が出たり。なので、意識的に色々なジャンルの人に出て頂きました。だから僕自身、いろいろな恩恵を受けました。たくさんの人の面白い話を聞けて、指導者をやっていた頃とくらべて、サッカーの見方もすごく広がりました。多様な中で何を選ぶのか。それが大事なんですよね。

 

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鈴木:それは指導にも通じる部分だと思います。いまの世の中にはたくさんの情報が溢れています。その中で何を選ぶかは、その人のセンスですよね。その意味でもmfは多様な価値観やサッカーの楽しみ方を提示する場所になっていたと思います。だから、お客さんそれぞれに「mfってこういうお店だよね」というものがある。サッカーの多様性を現すお店だったから、それに惹かれて多くの人が集まって来たんだと思います。

有坂:そうだとしたら最高に嬉しいですね。そうあってくれたらいいなと思っていましたから。自分がサッカーの指導をしていても、一見バラバラなんだけど、実はチームになっていて強いというのが理想で。自分ではわからないですが、もしmfがそうなっていたら嬉しいです。僕は今回で抜けて、お店も一旦休止しますが、いつか再開する時が来ると思うんですよ。そのときに主語が“有坂”ではなく、“mf”であって欲しいんですよね。僕が関わって見出したものもあると思うんですけど、もともとこの場が持つものがあって、そこに僕が自分の空気感を入れました。次に違う人がmfに来て、お店をやるぞとなったときには、その人の空気感で作っていって欲しいと思っています。

 

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鈴木:それは、サッカークラブと似ているかもしれません。監督や選手など、シンボリックな人はそれぞれの時代でいますが、主語はクラブですよね。目に見えているようでいて、実は見えないものをみんなで作っていく。それがいわゆる歴史や文化と言われるものであって。今後、どうなるかわからないですけど、新たな空気のmfができることを楽しみにしています。

有坂:そうですね。この空間はなくなるけど、面白い事は起こると思うので、楽しみにしていて欲しいです。僕はBlankey Jet Cityというバンドが好きで、解散ライブの最後の曲の前のMCで『みんなバラバラになるけど、また新しい冒険をするから。こういう気分で。』と言って、『baby baby』という突き抜けたロックンロールで終わったんです。

鈴木:かっこいいですね。

有坂:それってすごくいいなと。解散はメンバーやファンにとって悲しいことだけど、そこからまた新たな何かが生まれるはずで、その時にどういう気分でいるかがすごく大事なんですよね。mfの閉店を発表してから、たくさんのお客さんが来てくれて「さみしいです」って言ってくれる方もたくさんいました。それは素直にすごくうれしくて。mfは一旦なくなりますけど、そこから何か新しいフットボールの見方であったり、新しいものを楽しい気分で生み出してくれたらいいなと思います。

鈴木:最後に、ずっと聞きたかったことがあったんです。

有坂:なんでしょう?

鈴木:mfってどういう意味なんですか?

有坂:『メルカード・フットボール』の頭文字をとったものです。

鈴木:メルカード…。つまり、フットボールの市場!

有坂:そう。ここに来れば、市場のようにフットボールのいろんなものがありますよ、という意味です。たまにお客さんに「ミッドフィルダーですか?」と聞かれるんですけど、メルカード・フットボールなんですよね。

 

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鈴木:市場ってすごくワクワクするし、人同士の交流もあって、掘り出し物がみつかったりする。本当に楽しい場所で、mfもフットボールの市場のようなお店だったと思います。

有坂:そうあってくれたら嬉しいなと思っています。

鈴木:ありがとうございました。有坂さんとmfの次を楽しみにしています。

有坂:こちらこそ、ありがとうございました。(了)

 

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