2016.08.22 Mon

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

幸野健一のエッジな人「日本人で唯一、カタールの最先端育成施設アスパイア・アカデミーで指導をした男」八橋健一

カタールが莫大な費用をかけ、同国内に作った選手育成施設。それがアスパイア・アカデミーだ。世界中から優秀な指導者を集め、最先端の設備でトレーニングをし、カタールの育成年代のレベルアップを図っている。今回は日本人で唯一、アスパイア・アカデミーで指導した経験を持つ、元ガーナ・プレミアリーグ、ハーツ・オブ・オーク監督の八橋健一さんに内情を教えてもらった。(構成・鈴木智之/フットボールエッジ編集長/写真提供・八橋健一)

【インタビュー前編はこちら】

幸野:八橋さんはカタールにある、世界トップレベルの施設を誇る『アスパイア・アカデミー』でコーチをした経験を持つ、唯一の日本人だと思います。前回のインタビューでは、キルギスタンU-16代表の監督として、カタールU-16代表と試合をしたときのパフォーマンスが認められ、アスパイア・アカデミーに引き抜かれたとおっしゃっていましたが、いつからいつまで指導をしていたのですか?

八橋:2014-15シーズンの1シーズンです。2015-16シーズンからは、ガーナのハーツ・オブ・オークの監督をしていましたから。

幸野:カタールで思い出したのですが、うちの息子(幸野志有人/レノファ山口)もU-16日本代表として、カタールで試合をしたことがありますが、そのときに「スタジアムの外は40度ぐらいあるのに、グラウンドは28度で、天井が空いているのにエアコンがガンガンに効いていた」と驚いていました(笑)

八橋:それはアルサッドのスタジアムですかね。カタールは世界で2番目にお金持ちの国ですからね。アスパイア・アカデミーは世界中から優秀な育成年代の指導者を集めている育成組織で、自分がそこに貢献できる指導者であると認められたのは嬉しかったですね。

幸野:日本でも、アスパイア・アカデミーの名前は知られていますが、実際は謎に包まれています。日本人で働いた経験を持つのは、八橋さんしかいないわけですから。実際に行ってみて、施設を含めてケタ違いのすごさを感じました?

八橋:育成年代の施設は、間違いなく世界一です。いまは中国がサッカーに熱を入れているのでわかりませんが、当時は世界一だと思いました。天然芝の練習グランドが10面あって、ゲスト用様に4面あります。インドアの人工芝グラウンドは、4000人の観客が入ります。お金で買える練習施設はほとんどあって、例えばドルトムントが持っている「footbonaut」(四方からボールが出てくる、室内用トレーニング機器)が二台あったり、ビデオ班がいて練習も試合も撮影し、アカデミーダイレクターが必ず目を通します。月に1回行うコーチのミーティングでは、指導の良い例と悪い例が出てきて、そこに出てくるとものすごく緊張するんですよ。

幸野:アカデミーダイレクターはヨーロッパの人ですか?

八橋:私がいたときはスペイン人がやっていました。アスパイア・アカデミーはU13からU23まであるのですが、各年代のメインコーチはスペイン人でした。ちなみにコーチは各カテゴリーに4人いて、コーチとは別にフィジオセラピストやメディカルスタッフ、分析班もいます。さらに、学校も施設内にあるので教師がいて、生活の世話をする人がいる。つまり、お金で買えるものは何でもあるわけです(笑)

幸野:八橋さんは何を担当されたんですか?

八橋:U16のアシスタントコーチです。人生で初めて、アシスタントコーチをやりました。アスパイア・アカデミーでは、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、フィットネスコーチ、GKコーチの4人がグループとなって、ひとつのチームを指導するんですね。練習の前に4人で打合せをして、ひとつの練習メニューの中で、それぞれの立場から選手にコーチングをします。たとえば、ヘッドコーチはビブスを着ているチームにコーチングをするので、アシスタントコーチはビブスを着ていないチームにコーチングをするといった形です。

 

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幸野:アスパイア・アカデミーは、どのような指導方針だったのですか?

八橋:僕が担当したU16は、最初はスペイン人のヘッドコーチでしたが、途中からカタール人になり、最後はセルビア人と、1シーズンで3人替わっているんです。おおまかに言うとスペイン式の指導メソッドなのですが、どんな練習をするかはコーチに任せられています。厳密にいうと、アスパイア・アカデミーはチームとして活動しているわけではないんですね。各クラブのトップレベルの選手たちを集めてきて、平日だけトレーニングをして、週末はクラブチームに返します。なので、週末の試合は所属クラブで戦います。

幸野:そうなんですか。カタール人に対して指導をするわけですが、彼らの気質はどのようなものでしたか?

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選手自身に判断をさせて、プレーさせることが非常に難しい文化

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