2016.06.13 Mon

Written by EDGE編集部

育成・トレーニング

【少年サッカー移籍問題3】日本中から届いた保護者、指導者の叫び。子どもたちの環境を良くするにはどうすればいい?

フットボールエッジで『少年サッカー移籍問題』の記事を掲載したところ、編集部に多くの反響が寄せられました。北から南まで様々な地域から送られてきたメールやメッセージすべてに目を通し、各地で同じような目に遭っている人が多いことを再確認しました。移籍問題で悩む保護者の声、指導者の声を紹介します。(文・鈴木智之/フットボールエッジ編集長)

少年サッカー移籍問題 第1回の記事はこちら

少年サッカー移籍問題 第2回の記事はこちら

【保護者からの情報】
我が家の子も、4月に地域のチームを辞めました。記事にあったような移籍問題があったからです。(以下、クラブ側から受けた理不尽な事例。個人の特定に繋がる内容なので割愛)。地域チームはサッカー協会に属していて、いろんな噂が飛びかっているので、同じ地域だとしがらみも多くて移籍が出来ません。だから、うちの子どもはサッカー協会に属さないスクールのチームに加入を決めました。

本当に、狭い世界の大人の争いに子ども達は巻き込まれています。スクールでも海外に行かせた時でも言われたのが、欧米では移籍が当たり前のように行われている。引き抜きもあるし、セレクションを小さな時から受けて厳しさも知る。自分のレベルにあったサッカーが出来るって。自分で選べる事は、とても大切な事ではないでしょうか? 日本は選べないですよね。仮に辞めた後も、学校や町中、我が家の場合は監督が同じマンションという、かなり近いコミュニティで過ごしています。

我が家はあまり周囲の事を気にしないので、辞めた後もあいさつ程度の仲でやり過ごせますが、辞めたいと思っている子の親の中には、近すぎて辞められない、何を言われるかわからないと気に病む方も多く、結果として現状のチームを受け入るしかないと諦めている家庭も多いです。

元いたチームをごちゃごちゃ言うつもりはありません。だけど、子どもが笑顔でサッカーが出来ないのは本当に辛いです。だから子ども達には選択肢を広げて欲しい。いろんなクラブを選べるようになって欲しい。切に願います。

 

【保護者からの情報】
息子はジュニア時代、このことで苦しみました。D県にはおかしな『D県ルール』が存在し、父兄の関係も良くありません。昨春、息子は某Jクラブから内定を頂き、そのとき所属していたチームから移籍しました。そのチームの監督に「ここにいたから内定をもらえたくせに!」と、内定を取り消すよう父兄も巻き込み騒ぎ立てました。その後、内定先チームの監督、コーチと話し合い、ご理解頂き無事に入団しましたが、私は元チーム監督、父兄から睨まれ文句を言われる状態です。ただ、息子は本当に楽しそうにサッカーしているので、良かったと思っております。

息子は理解してくださる方に助けて頂き、救われましたが、このようなことで苦しんでサッカーを嫌いになり、辞めてしまった子がたくさんいます。4種(小学生)の移籍問題、県によって恐ろしくおかしなことが起こっています。ちなみに、D県も移籍後半年間、試合には出場出来なくなります。父兄からの圧力がすごいです。是非これからもたくさん取り上げて頂きたいです。サッカー少年、少女たちの未来のために…。

 

【指導者からの情報】
ジュニア年代の指導をしています。私が指導をするA市内では、4種の移籍のルールはありません。隣のB市でもルールはないそうです。しかし、その隣のC市はあります。以前、A市のクラブからC市のクラブへ移籍した選手がいました。小学4年生で、A市のクラブにいればトレセンに選ばれるであろう実力の選手です。しかし、その選手はC市のトレセンには入る事が出来ませんでした。なぜならば「C市のトレセンには、C市に住んでいる選手しか選ばれない」というルールがあるからです。また、C市に住んでいないので、市内の大会にも出る事ができませんでした。才能ある選手が、貴重な経験を積む可能性を、C市サッカー協会が奪っています。C市のチームに魅力があり、隣のA市から通う事を決断したのだと思いますが、C市のサッカー協会はC市に住む選手しか育てる気がないようで残念です。

 

【指導者からの意見】
記事、拝見しました。内容には同意しますが、一方で『移籍の自由は、クラブのつまみ食いの自由』のようになってもいけないと思います。うまくいかないことがあれば、すぐに移籍、試合に出られなければ移籍というように。移籍するのは選手の自由だと思いますが、どのクラブも選手にたくましく育ってほしいと思い、長い目で見てあえて試練を与えていることもあります。それなのに保護者が「うちの子がかわいそう」「あそこのチームは素晴らしい」と、簡単に移籍することを煽ってほしくないと思います。苦しい状況で、しかめっ面をしている選手に対して、私自身、心の中で「がんばれ!」と思っていますが、その最中に「それなら辞めます」と言ってくる保護者も結構います。

 

【保護者からの意見】
今回の記事は移籍問題とありましたが、ジュニアユースへの進路問題についても、プレイヤーズファーストではない事があったので意見を述べさせていただきます。息子たちは現在中2、中1の2人で、小学校低学年からサッカーを始めました。少年団から街クラブへ移り、そして2人とも同じジュニアユースクラブに所属しています。少しチームを掛け持ちしていた時もありましたが、少年団の配慮もあり移籍時には問題ありませんでした。

ジュニア時代に所属していたクラブの監督が、ジュニアユースのコーチも兼務しており、進路時にはそのまま上へ上がるように求められました。私としては、クラブのスタイルと子供が合わないと考えていたので、違うチームを見てから決めた方がいいと伝えました。体験練習や必要であればセレクションを受けてみて、最終的に判断するように話しました。

そこで問題となるのが、体験練習に参加する場合の、所属チームの承諾書です。カテゴリーが違うのに、なぜ?とすごく疑問でした。中学校の部活に行く子供に対しては変わらない対応でしたが、他クラブも見てみたいと思っている子供への接し方は酷いものです。

練習中や試合中に関わらず、感情的になって怒鳴る。プレーを全否定する。全員の前でこき下ろす。それは酷いものでした。そうなると、体験練習への参加も出来なくなり、なんで子供の将来のことをしっかりと考えてはいけないんだと思いました。

Aというチームはジュニアチームなので、ジュニアユースはありませんが、提携しているジュニアユースチームがあり、そちらへ進むように求められます。他チームへ行こうとすると、クラブを辞めなければいけません。6年生の最後まで仲間とサッカーが出来なくなってしまいます。それだけにとどまらず、全く関係のない兄弟までもクラブを辞めるように言われます。そんなクラブが、育成に力を入れています!って言っているのはおかしいです。

別のBというチームの体験練習やセレクションに参加した時に、チームの監督から言われたことは、「チームはセレクションをして選手を選びます。ですから選手もチームを選んで下さい」と言っていました。入部の回答に期限はありましたが、やはりそのようなスタンスが必要ではないかと思いました。

色々なチームを見てみて、やっぱり前にいたチームがいいと思う場合もあるはずです。親にも子にも、魅力あるチーム作りをすればよいだけなのに、ジュニアサッカーに携わっているコーチたちはなぜ、そういうことが出来ないんだろう?とずっと疑問に思っています。

どうしようもない親がいるのは事実だと思います。だけど、同じようにどうしようもないコーチもいます。これからも、ぜひコーチたちにとって厳しいテーマも取り上げてもらいたいと思います。

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今回、編集部に寄せられた意見は、各地の例が読み取れる興味深いものでした。また地域の実情や意見だけでなく、海外の事例も寄せられました。それについては、今後の記事で特集していく予定です。

<次ページ>

取材を通じて見えてきた実情と、問題提起をした幸野健一氏との対談

 

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