2016.05.31 Tue

Written by EDGE編集部

育成・トレーニング

【少年サッカー移籍問題】大人の都合で理不尽なローカルルールが横行。サッカーをする場を奪われる子どもたち(1)

いつもフットボールエッジをご覧頂き、ありがとうございます。編集長の鈴木です。これより、特集企画を始めたいと思います。テーマは「育成年代のクラブ移籍について」です。(以下、サッカー少年移籍問題)。あまり知られてはいませんが、実は小学生のクラブ移籍について、プレーヤーズ・ファーストとは真逆のことが横行しています。今回はこの問題を、サッカーにたずさわる、サッカーを愛するみなさんと共有し、「本当に子どもたちが成長できる環境を作るには、どうすればいいか?」を考えるきっかけになればと思っています。

今回の「サッカー少年移籍問題」は、フットボールエッジの連載「エッジな人」でおなじみ、サッカーコンサルタントの幸野健一さんの問題提起から始まりました。

(以下、幸野さんのFacebookより)

横浜市A区のサッカーチームに所属する小学生の選手の親御さんから相談を受けているのですが、他のチームに移籍しようとしたら「A区は移籍ができない」って言われたと。そういうことはA区サッカー協会の主導で行われてるということでしょうか? どなたか知っている方いたら教えて下さい。

また、他の地区でも「移籍したら半年間公式戦出場停止」など、わけがわからないローカルルールが蔓延しています。それらの建前は「引き抜き防止のため」となっていますが、実際は自分のクラブの保身のためですよね? プロでもあるまいし、契約でもしているんですか? 選手と親御さんが行きたいところに行けるようにならないといけないし、それがプレーヤーズ・ファーストですよね。もちろん、行きたい先にセレクションがある場合もあるわけだから。

選手が移籍したら、クラブ側はなぜ「引き抜かれた」となるのでしょうか? 自分たちのクラブに魅力がなかったとは考えないのでしょうか? それぞれのクラブがもし選手が移籍したら、自分のクラブに何が足りなかったのかを考えて、もし何か不都合があったのなら、それを全力で改善し、選手や親御さんに選ばれるクラブになろうと努力すればいいじゃないですか。健全な競争があるところに発展があり、水が澱んでいたら未来はないですよ。

セレクションを受けるのに、監督承諾書なんて持ってこさせる必要あるんですか? そんなのを持ってこさせるから、所属クラブの監督にいじわるされたり、クラブを辞めないと、セレクションを受けさせてくれなかったりすることが起きるんです。ほかにも、勝手にクラブ同士で話をまとめてしまったり。現状はプレーヤーズ・ファーストどころかクラブ・ファーストですよね?

日本サッカー協会もリーグ戦化を進めていますが、真のリーグ戦を実現するには、移籍の自由がセットでなくちゃいけないんです。リーグ戦化が進めばヒエラルキーができるわけだから、その時選手は自分の実力にあったクラブを選びたくなるはずです。その時に躊躇なく自分に合ったクラブに移籍できるべきです。

調べれば調べるほど日本中にひどい状況があるんだなって、痛感しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(Facebook引用ここまで)

今回は横浜市某区のケースに言及していますが、私の知る限りでも、同じようなケースは多数存在しています。

ある指導者の方から提供して頂いた、某県某クラブの「退部届」には、下記の文言が明記されています。(抜粋)

・退部した場合、一年間他のサッカークラブに所属できない
・選手登録をした選手は、一年間同一チームで活動する
・原則として他チームへの移動は認めない。但し、転居等やむを得ない事情によっては考慮される
・各選手がチーム間で移動をする時は「移籍承諾書」を作成、両チーム代表者の同意を得ることにする

・退部した場合、一年間他のサッカークラブに所属できない

→なぜ? 選手が他のクラブでプレーしたい意志を、クラブ側が阻害する権利はあるのでしょうか?

・選手登録をした選手は、一年間同一チームで活動する

→なぜ? 単純に理由が不明です。何か理由があるのでしょうか

・原則として他チームへの移動は認めない。但し、転居等やむを得ない事情によっては考慮される

→なぜ移動を認めないのでしょうか? 選手が他のクラブでプレーしたい意志を、クラブ側が阻害する権利はあるのでしょうか?

・各選手がチーム間で移動をする時は「移籍承諾書」を作成、両チーム代表者の同意を得ることにする

→つまり、所属元のクラブが「移籍承諾書」にサインをしなければ、別のクラブに移籍することはできないことになります。選手が他のクラブでプレーしたい意志を、クラブ側が阻害する権利はあるのでしょうか?(3回目)

そして、この退部届用紙には「移籍希望理由」を書く欄がありますが、これがクセモノです。選手が移籍したい理由なんて、大きく分けてしまうと「いま所属しているクラブに不満があり、別のクラブに行きたい」というものがほとんどですよね。その理由を書かせて、所属クラブ元に申請し、承認をしてもらって、別のクラブに届けを出さなければいけません。これには、選手に移籍してもらっては困るという、大人の都合が見え隠れします。

日本サッカー協会はプレーヤーズ・ファーストを奨励しています。しかしながら、育成年代の現場で行われている、選手の移籍に関する事柄はプレーヤーズ・ファーストではなく「クラブ・ファースト」のケースがあるのが現状です。

もちろん、選手のためを思って、プレーヤーズ・ファーストの精神で、選手の移籍について寛容な指導者もたくさんいます。しかし、一部では選手の立場を無視した、クラブの都合や大人の都合を押し付けるケースもたくさんあるのです。

そこでフットボールエッジでは、この問題を継続的に取材し、様々な意見を発信していきたいと思います。

同じような目に遭ったという方や、ご意見、ご感想がある方。また、クラブ側から選手の移籍について「うちのクラブはこう考えています」などのご意見がありましたら、下記メールアドレスにお寄せください。

footballedge2015(アットマーク)gmail.com
件名:移籍問題

※スパム対策のため、(アットマーク)の部分を@に変換してお送りください。

もしくはTwitterでハッシュタグ「#少年サッカー移籍」を付けてつぶやいてください。

お寄せ頂いたご意見は、フットボールエッジ内で紹介させていただくことがあります。(クラブ名、お名前について匿名をご希望の方は、その旨を明記してください)

サッカー育成年代のより良い環境づくりのため、子どもたちのために、ぜひともご協力をお願いします。

フットボールエッジ編集長 鈴木智之

 

2017年3月13日追記。この問題について、日本サッカー協会より通達が出され、解決に向けて大きな一歩が踏み出されました。

【少年サッカー移籍問題6】移籍問題解決に向けて、日本サッカー協会から通達が出される!

 

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