2016.02.24 Wed

Written by EDGE編集部

ヨーロッパ

ドイツで14年指導した、坂本健二氏による「守備の個人戦術を学ぶ方法」

2016年2月中旬、坂本健二氏によるコーチング・アドベンチャーの2回目が行われた。今回のテーマは守備。昨今、攻撃をテーマにした講習会は多く行われているが、守備をテーマにしたものは少ない。参加者の一人は「守備の指導を学ぶ機会がないので、楽しみにしてきました」と、開催を心待ちにしていた様子。講習会では坂本氏がドイツで学んだ内容を実体験も交えながら、守備のあり方とその重要性についてレクチャーした。

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◆頭を使って守る「ゾーンディフェンス」の楽しさを知る

なかでも印象的だったのが、ゾーンディフェンスについて。坂本氏がドイツに渡った90年代後半は、まだマンツーマンディフェンスしか存在していなかった。その後、2000年の欧州選手権で、ドイツ代表がリベロを擁したマンツーマンディフェンスで惨敗し、ゾーンディフェンスへの移行が始まった。坂本氏が説明する。

「ドイツ語でフラット4は『Viererkette』と言って『4つの鎖』という意味があります。もともとドイツではマンツーマンが主流でしたが、2000年以降ゾーンディフェンスが広まり、私も自チームのU17にゾーンディフェンスを取り入れることになりました。そのチームにはFCバイエルン・ミュンヘンとTSV1860ミュンヘンでプレーしていた、ふたりの優れた選手がいたのですが、わたしが“チームでゾーンディフェンスをやろう”と言うと、すぐさま“ケンジ、それは無理だ。うちのDFのレベルでゾーンディフェンスなんてできるわけがない”と言うわけです。でも、わたしが“トレーニングを積めば大丈夫だ”と説得して取り組み、チームとしてゾーンディフェンスを身につけ、実戦で活用するようになりました」

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ゾーンディフェンスはチームで連動し、密接なコミュニケーションをとりながらプレーすることが前提となる。より緻密な判断、ポジショニング、周囲との連携が求められるため、『マークする相手を、個人の責任で抑える』マンツーマンよりも、頭を使って守らなくてはいけない。ただ、その大変さの中に面白さが含まれているのも事実で、ゾーンディフェンスを習得するに連れ、味方同士によるコンビネーションを使って守備をする方法を知った選手達は「もう、マンツーマンに戻りたくない」と言うまでになったという。

坂本氏は言う。

「ドイツサッカー協会は育成年代から、ゾーンディフェンスを推奨しています。サッカー協会のホームページでは、最新式の練習方法が掲載されたテキストや映像を見ることができます。情報やメソッドを無料で公開するドイツサッカー協会の姿勢からは『お父さんコーチのレベルも引き上げて、ドイツ代表を強くするんだ』という気持ちが伝わってきます。私も日本でプレーしていたときは、ガチガチのマンツーマンでサッカーをしていましたが、頭を使ってゾーンでディフェンスをすると楽しいと思います。その楽しさを、日本の選手たちにも知ってもらいたいと願っています」

 

◆守備のベースとなる1対1の個人戦術

講習会ではドイツサッカー協会が作成し、坂本氏が日本語訳した「ボールを重視した守備」をテーマにした映像を見ながら、ポイントが解説されていった。そこでは守備のベースとなる「1対1の対応」について、守備の個人戦術を紹介。映像で理解したところで、グラウンドに移動し、参加者が実践する。

ウォーミングアップでは、攻撃側と守備側が1対1で正対し、攻撃側は守備側の背後にあるコーンとコーンの間を駆け抜ければ勝ち。守備側は手にボールを持ち、ボールで攻撃側の身体に触れられれば勝ちというルール設定で行われた。トレーニングのメインテーマである「守備の1対1」に繋げていくため、1対1の対応に意識が置かれた練習だ。

坂本氏からは「守備側は、どこまで前進して攻撃側に寄るのか。つまり、どれだけの距離を残すのか」「守備側と攻撃側の選手が同極同士のマグネットで反発し合うように、守備側の選手はボールを手で前に突き出しながら、攻撃側のコースを限定していく」といった動きに対してコーチングが行われた。

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1対1の守備対応のポイントとは?

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