2016.01.18 Mon

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

幸野健一のエッジな人「日本人初、ドラフト1巡でMLSに指名された男」遠藤翼(トロントFC)

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幸野:
アメリカのサッカーについては、どんな印象?

遠藤:僕のチームはパスをつなぐスタイルなのですが、MLSを見てもレベルが上がって来ているなと感じます。JFAアカデミーの6年間で培った技術に自信はありましたが、それだけで通用しないのも事実で。サッカーは技術だけじゃなく、フィジカルもメンタルも必要で、総合的な能力が求められるスポーツじゃないですか。

幸野:そうだね。

遠藤:最初は技術以外で劣る部分があったので、大学1年の最初は試合に出られなかったんですね。とくにメンタルや決定力の部分が足りないと思っていました。自分のプレーがうまくできないときに、表情に出たり、チームメイトに強く言ってしまうこともあって。自分のミスが許せなかったり。でも、いろいろな経験をすることで、ミスをしても切り替えることができるようになりました。試合中にシュートを外しても、落ち込むのではなくて、次のプレーに切り替える。小さなことですけど、そういうことが積み重ねって、良い方向につながっていったんだと思います。

幸野:翼自身、自分のプレーの特長はどういうところだと思っている?

遠藤:アカデミーの頃から走れる選手だったので、運動量は特長のひとつだと思います。アメリカに来てからは、打開力が身につきましたね。ドリブルだけでなく、パスやシュートでもチームを救える選手になったのかなと思います。

幸野:大学4年間のサッカーの成績はどうだったの?

遠藤:リーグ戦が年間に20試合ぐらいあって、その後にカンファレンス(地域)の8チームで争うトーナメントがあり、全米の大会があります。全米の大会では1年生のときにベスト4、2年生のときに準優勝、3年生が2回戦、今年はベスト8でした。個人としては、2年生のときに全米トーナメントのベストイレブンに選ばれて、今年はリーグ戦のベストイレブンとトーナメントのMVPに選ばれました。

幸野:大学3年生のときに、学業とスポーツで優秀な成績を残した選手が選ばれる賞をもらったって聞いたけど。

遠藤:今年も選ばれました。勉強はおろそかにしないように、文武両道でやっています。

幸野:学業は何を学んでいるの?

遠藤:専攻は社会学ですけど、ビジネスのマーケティングや心理学など、興味のある授業を受けることができるので、色々勉強しています。社会学は色々なことを学べるので面白いですね。

幸野:大学の待遇としては、特待生のような感じなの?

遠藤:学費は3年間半分免除されて、4年生のときは選手として活躍したので、全額免除でした。僕はインターナショナルの枠なので、航空券代ももらえるんです。アメリカの大学は設備も環境も良くて、成績さえ良ければ金銭面もサポートしてくれるので、かなり良いと思います。

幸野:そして、2015年の12月に大学を卒業して、1月のドラフトにかかるわけだよね。(編注:対談は2015年12月末に行われた)

遠藤:はい。ディビジョン1のトッププレイヤー50人が選ばれて、ドラフトにかかるんです。

幸野:つまり、翼は大学サッカー選手の全米トップ50の中に入ったわけだよね。それはどうやって選ばれるの?

遠藤:MLSのコーチがシーズンを通してプレーをチェックして、スカウトしたい選手をリクエストするみたいです。全米の50人に選ばれたので、1月8日から12日まで、フロリダでトライアウトがあります。そこではフィジカルテストや測定があって、4チームにわけられて、4日間試合をします。そこにMLSのスカウトやコーチが来るので、最後のテストのような感じですね。その2日後にドラフトがあります。ドラフトが4巡あって、最初の2巡がESPNで放送されるんですよ。

幸野:サッカー選手としてヨーロッパを目指すのもいいけど、アメリカを目指すのも良い選択だと思う。英語や勉強面も含め、サッカーでプロになれなかったとしても、次のステージに良い形で進めるチャンスがあるから。

遠藤:アメリカは良いですよ。自分に子どもができたら、アメリカの大学に行かせたいと思うぐらいに(笑)。環境や設備もいいですし。日本の大学生はあまり勉強をしないという話を聞くんですけど、アメリカの大学はとにかく勉強をしないといけないんです。大学全体がそうなので、監督が選手の勉強の状況をチェックしていますし、家庭教師が来る時間帯には練習に参加させないとか、勉強優先で厳しいんです。その分、オンとオフの切り替えもはっきりしているので、人間的にも成長できると思います。

幸野:今回の翼の活躍は、JFAアカデミーの後輩たちだけでなく、海外でプレーしたい選手に向けて、新たな選択肢を提示したという面で、すごく大きなことだと思います。翼のように、アメリカの大学を経てプロになったり、ビジネス界で活躍する人がもっともっと増えれば、サッカー界にとっても価値のあることだと思います。その道の先駆者として、今後の活躍を楽しみにしています。

遠藤:ありがとうございます。がんばります。

<追記>
対談後、遠藤選手はMLSのドラフト1巡目で指名され、見事「アメリカでプロになる」という夢を叶えました。

<プロフィール>
遠藤翼(えんどうつばさ)
千葉県四街道市出身。173cm、66kg。ポジション:MF
山王SC-JFAアカデミー福島-メリーランド大学
今季24試合出場、5得点6アシスト
カンファレンスMVP、リーグベストイレブン

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