2015.12.13 Sun

Written by EDGE編集部

アジア

【第35節】香港在住ビジネスマンが始める、サッカー事業の軌跡「英国スタジアムツアーで感じた本場の息吹」

近年、アジアでサッカービジネスに関わる日本人が増えてきた。香港在住15年を数える、池田宣雄氏もそのひとりだ。32歳のときに香港で起業し、コーポ レートコンサルタントを営むかたわら、サッカーに関する様々な業務のコーディネーターとしても活動している。金融の街としても知られる香港より、スポーツ ×ビジネスの観点から綴るエッセイ(アーカイブ)をお届けする。(文・写真 池田宣雄)

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<初出:2015年1月第4号 ぽけっとページウィークリー>

(編注:内容は全て原稿執筆時点2015年1月のもの)

前節に引き続き、2014年11月下旬に訪れたロンドンでの模様を。

ロンドンで2つ、フランクフルトでも2つのミーティングをこなしながらも、せっかくサッカーの本場を訪れたのだからと、日程の許す範囲でスタジアムツアーに参加した。

プレミアリーグの名門、北ロンドンのトットナム・ホットスパーの本拠地ホワイトハートレーンと、チャンピオンシップ(2部リーグ)を戦う、南ロンドンのミルウォールの本拠地ザ・デンに足を運んだ。

本来であれば試合を観戦したいところだが、ロンドンでのミーティングを組んだ週末は、両チームともアウェーゲームの日程だったので、この2つのスタジアムは見学ツアーで我慢する事に。

木曜日の明け方にヒースロー空港に降り立ち、HSBCのATMで英ポンドを用意して、地下鉄と鉄道を乗り継ぎ、スタジアムの最寄駅ホワイトハートレーン駅に着くと、まず向かったのはトットナムファンが集う食堂だ。

店内に飾られた数々の写真に目を奪われつつも、フルブレックファストとミルクティーで腹ごしらえ。どう見てもツーリストの筆者に、朝食を摂る隣りのテーブルの紳士から声が掛かった。

「中村俊輔はまだプレーしてるのかい?」

挨拶するまでもなく、どこから来たかを説明するまでもなく、いきなり中村俊輔の話題を振られたので話は早い。やっぱり彼がチャンピオンズリーグで決めたマンチェスターU戦の2つのフリーキックは、本場の皆さんの印象に深く刻まれている事を実感した。

トットナムファンが集う食堂に来たのだから、てっきり戸田和幸の話になると思って、筆者が2013年にシンガポールで会った時の戸田和幸本人との写真まで準備していたのだけれど。

朝食を済ませてスタジアムに向かった。途中、大規模な建設現場を横切ったのだが、これはトットナムの新しいスタジアムの建設現場で、現在のホワイトハートレーンのすぐ北隣りの敷地で工事が行なわれていた。

今回の目的は、来シーズンの終了を持って取り壊される、現在のホワイトハートレーンを見納める事だった。数々のタイトルを獲得し、多くの名監督と名選手が躍動した、古き良き英国の歴史あるスタジアムが、またひとつ姿を消すのだ。

土曜日の朝は、今回の宿の並びにあるミルウォールファンが集う食堂で朝食を済ませて、サザークの寂れたエリアを本拠地とする、ミルウォールのザ・デンに向かった。

2部リーグと3部リーグを行き来するミルウォールが、スタジアムツアーを行なっている事自体に感動を覚えたが、感動はそれだけに留まらなかった。ツアーの参加者は、筆者とカーディフから来たという4人組の同世代グループだけだった。

「キミは本当にミルウォールファンなのかい?」

実はミルウォールのファンではない事を告げ、ロンドンには仕事で来た事と、実はマイナーカテゴリーにも精通している男だと話したところ、ツアーのナビゲーターも含めて大歓迎してくれたのだ。海外に住む東洋人が、ミルウォールのスタジアムツアーに参加した事は、おそらく初めての事だと。

ミルウォールは、日本でも馴染みのあるオーストラリア代表のティム・ケーヒルが、プロキャリアをスタートさせたチームだ。歴史あるFAカップのファイナルに駒を進めた時に大活躍した選手として、今でもミルウォールのファンとティム・ケーヒルは、相思相愛の関係を続けている。

スタジアムツアーは、実際の試合観戦ではないものの、普段は入れない選手の控え室、ピッチサイドやベンチなどにも通して貰えるファン垂涎の催しで、スタジアムを本拠地とする各チームが主催している。

ぽけっとページウィークリー
2015年1月第4号掲載コラム加筆修正

<プロフィール>
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池田宣雄(いけだ・のぶお)
AFCB香港紫荊會(www.afcb.biz)代表。大学卒業後、物流大手営業職等を経て、32歳の時に香港で起業。コーポレートコンサルタントのかたわら、フットボールコーディネーターとして香港で活動している。香港サッカー協会会員。1970年生まれの45歳。

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