2015.10.05 Mon

Written by EDGE編集部

アジア

拡大を続ける東南アジアの日本人選手。移籍の現状をエージェントに直撃!

近年、アジアのリーグで日本人選手がプレーすることは珍しくなくなった。とりわけ、東南アジアでプレーする日本人選手の増加は著しい。今や世界で最も多くの日本人選手が所属する海外リーグとなったタイリーグでは、今季も50名以上がプレー。その流れは今、カンボジアやラオス、ミャンマーといったタイの周辺国にも波及し始めており、2015年10月時点でカンボジアで15名、ラオスで7名、ミャンマーで4名の日本人選手がプレーしている。年々、拡大を続ける東南アジアのマーケットについて、タイを拠点に東南アジアで活動するエージェントの真野浩一氏(ユーロプラス)に話を聞いた。(取材・文 本多辰成)

 

――年々日本人選手が増え続けてきたタイリーグですが、今季は、60名以上がプレーした昨季からやや減少しました。

真野:タイリーグの外国人枠が「7」から「5」に減ったことが大きかったです。外国人そのものの数が減った中で、必然的に日本人選手も少なくなったということです。ただ、ディビジョン2(3部)に関しては、外国人枠がもともと「5」だったこともあって減少してはいません。

――今後の展望としては、どう見ていますか?

真野:タイに関しては、日本人選手はさらに厳しい状況になると見ています。ブームのようなものがあって、今はアジア枠にハーフなどの選手を獲りたがるチームが多いんです。スペイン系のフィリピン人や、オランダ系のアフガニスタン人など、ヨーロッパにルーツを持つアジア人です。さらに今、東ティモールが代表強化策としてブラジル人を次々に帰化させていて、彼らも来季からアジア枠での登録が可能になる。日本人にとっては強力なライバルになることが予想されます。

――そういった中で、カンボジアやラオスといったタイの周辺国でも日本人選手が増えています。

真野:どの国も年々成長しています。国によって求められる選手が違いますから、選手のプレースタイルに合ったリーグを薦めています。今は必ずしも、タイでチームが決まらなかったから周辺国に挑戦する、というわけではないんです。たとえば、タイのディビジョン2よりもカンボジアやラオスのトップチームでプレーする方がいい場合も多いですから。カンボジアやラオスと聞くとイメージで断る選手もいますが、実際にプレーして、待遇や生活環境などで不満を訴える選手はほとんどいません。今の東南アジアは、「知っている者が得をする」という状況ですね。

――実際、何人くらいの選手がトライして、そのうち何割くらいが契約に至っていますか?

真野:昨年、日本でも実績のある有名な選手たちがタイでプレーしたことで認知度が高まり、今年は挑戦する日本人選手が増えました。日本代表クラスの選手からプロキャリアのない選手までさまざま、計100名ほどからプロフィールが送られてきました。その中で約30名と契約をして、そのうち約半数が実際にチームとの契約に至っています。私たちの強みなのですが、タイだけでなく周辺国やヨーロッパにも日本人スタッフを配して、選手の特徴を把握した上でチームを探しているので契約に至る確率は非常に高いです。

――最後に、東南アジアに興味のある日本人選手にメッセージをお願いします。

真野:プロキャリアのない選手でも契約を掴める可能性は十分にありますし、逆に日本で実績があってもチームが決まらないことも少なくない。一度フラットに見てもらえる場所だと言えます。これまでの実績に関わらず実力を見せてくれれば、それに見合った待遇が提示される世界。やりがいのある場所が見つかるかもしれませんし、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。

★日本から学ぼうという姿勢を持つアジアの国々

日本人選手のアジア進出の先駆けとなったタイリーグでは、2010年頃から日本人選手が増え始めた。リーグの成長とともにタイでプレーする日本人は右肩上がりで増えて行き、昨年は岩政大樹(現・ファジアーノ岡山)、茂庭照幸(現・セレッソ大阪)、カレン・ロバート(現・ソウルイーランドFC)といった日本で実績のある選手たちも参戦。「タイリーグ移籍ブーム」とも言える状況が生まれ、その数は60名を突破した。

タイリーグが東南アジアをリードする存在であることは今も変わらないが、周辺国もここ数年で目に見える大きな成長を遂げている。カンボジアには木原正和(カンボジアンタイガーFC)、ミャンマーには金古聖司(ヤンゴン・ユナイテッド)、ラオスには本間和生(ラオトヨタFC)など、Jリーグやヨーロッパのリーグで実績を持つ選手たちが、プレーし始めていることからも状況の変化がうかがえる。

東南アジアの国々にはもともと「日本から学ぼう」という意識が強い。反対に、日本人にとっても急成長する今の東南アジアは想像以上に住みやすい環境であるのも見逃せない。タイの首都・バンコクはおそらく世界でも最も日本人が生活しやすい街の一つであり、カンボジアやラオスでプレーする日本人選手に話を聞いても、「日本食も豊富で、なんでもある」など、とにかく「住みやすい」という声が圧倒的だ。

双方に小さくないメリットのある東南アジアサッカーと日本人選手の関係を考えれば、今起きていることは必然といえる。その関係は今後、さらに深まりながら定着していくことになるだろう。

ユーロプラスHP

 

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