2015.09.07 Mon

Written by EDGE編集部

アジア

【第22節】香港在住ビジネスマンが始める、サッカー事業の軌跡「南華、ACL予選出場権獲得!」

写真:池田宣雄

近年、アジアでサッカービジネスに関わる日本人が増えてきた。香港在住15年を数える、池田宣雄氏もそのひとりだ。32歳のときに香港で起業し、コーポレートコンサルタントを営むかたわら、サッカーに関する様々な業務のコーディネーターとしても活動している。金融の街としても知られる香港より、スポーツ×ビジネスの観点から綴るエッセイ(アーカイブ)をお届けする。(文・写真 池田宣雄)

<初出:2013年12月第4号 ぽけっとページウィークリー>

(編注:内容は全て原稿執筆時点2013年12月のもの)

南華足球隊。1910年創設。他の後発チームの追随を許さない圧倒的な歴史と戦績を有し、香港島の銅鑼湾に自前の天然芝ピッチを持ち、隣接する香港スタジアムを本拠地とする、アジアを代表する名門チームだ。

カタカナで「サウスチャイナ」とすれば在留邦人の皆さんなら目や耳にした事があるだろうし、数年前に元日本代表の野人こと岡野雅行が入団を試みた事は、現在でも皆さんの記憶に留まっているのではないだろうか。

ここ数年の香港リーグは、この南華(サウスチャイナ)と宿命のライバルである傑志(キッチー)の2強がタイトルを争う構図となっている。昨シーズンは南華がリーグ優勝を果たし、プレーオフを制した傑志と共に2014年のAFCカップの出場権を獲得している。

AFCカップとは、アジアのリーグランク中位国のチームが出場するアジアサッカー連盟主催の国際大会で、日本のJリーグを含むリーグランク上位国で構成されるACL(AFCチャンピオンズリーグ)に次ぐ存在だ。ここ数年の香港リーグには2つの出場枠(香港1位と2位)が与えられている。

AFCカップへの出場権を確保して、通常の国内リーグ戦とカップ戦と並行開催される日程を戦い抜く戦力を整えた南華(香港1位)に、嬉しい知らせが届いたのは11月の下旬だった。上位カテゴリーであるACLの予選出場権を獲得したのだ。

南華は過去、ACLや前身のアジアクラブ選手権の常連出場チームだったが、アジア各国のリーグが勃興した事で、香港リーグの相対的な位置づけが降下した為に、ここ数年は香港リーグ自体がACLの出場枠を失っていたのだ。

予選からのたった1枠の分配とは言えども、日本、韓国、中国、豪州、タイの強豪チームと対戦できる(かもしれない)権利を得た事は、南華や香港サッカー界にとっては歓迎すべき決定だ。香港サッカー協会の長年のロビー活動がこの枠の確保につながったらしい。

では、前述の(かもしれない)について説明しよう。予選は元々の予選出場枠の中国・豪州・タイの4チームに、AFCカップに出場するインド・ベトナム・シンガポール・香港の各1位4チームが挑む形で開催される。しかもこれはリーグ戦ではなくノックアウト方式が採用されている。

リーグランク下位側のチームが、上位側の本拠地に乗り込んで、1つでも落とした時点で即敗退が決まる過酷な条件下で開催される。リーグランクが最も低い南華が予選を突破する為には、上位側との敵地3連戦を勝ち上がらなければならない。

12月初旬に発表された組み合わせ抽選の結果から、南華の置かれた状況を解説してみよう。

【ACL2014 アジア東地区予選】
2月2日 対タンピネス @シンガポール
2月8日 対チョンブリー @タイ
2月15日 対北京国安 @中国

初戦のタンピネスとは実力的に拮抗しているので、敵地での試合開催でも対等に戦えると予想できるが、仮に勝ち上がった場合のチョンブリー以降は明らかな格上との対戦となる。

強いて優位な点を挙げるとすると、南華はシーズン途中でコンディションが整っていて、対戦する3チームは共にプレシーズン中で、チームとして未完成の状態かもしれない、という事だろうか。

非常に難しい状況だが、仮に南華が予選を突破して本戦に駒を進めた場合には、既に本大会のグループ分けと対戦日程が確定しているので、南華は以下のグループに自動的に組み込まれる事となる。

ACL2014 グループF (サンフレッチェ広島、セントラルコースト、FCソウルと同組)
2月25日 対サンフレッチェ広島 @日本
3月11日 対FCソウル @香港
3月19日 対セントラルコースト @香港
4月1日 対セントラルコースト @豪州
4月16日 対サンフレッチェ広島 @香港
4月23日 対FCソウル @韓国

このグループを2位以上で勝ち上がると決勝トーナメント進出となるが、この辺でやめておこう。もう1度言っておくが、上記は南華が仮に予選を突破した場合の対戦日程でしかない。

通常の国内リーグ戦とカップ戦を消化しつつ、上記のような強豪チームとの対戦が続けば、南華にとっても香港のサッカーファンにとっても、低迷期を迎えている香港サッカー界全体にとっても魅力に溢れる2014年になるだろう。

尚、南華はこのアジア東地区予選で敗退した場合は、当初の予定通りAFCカップの本戦に出場する。

(2015年9月加筆:その後、南華は初戦のタンピネス戦を敵地で制した後、第2戦のチョンブリー戦で大敗を喫して予選敗退。AFCカップに出場した)

(編注:内容は原稿執筆時点2013年12月のもの)

ぽけっとページウィークリー

2013年12月第4号掲載コラム加筆修正

<プロフィール>
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池田宣雄(いけだ・のぶお)
AFCB香港紫荊會(www.afcb.biz)代表。大学卒業後、物流大手営業職等を経て、32歳の時に香港で起業。コーポレートコンサルタントのかたわら、フットボールコーディネーターとして香港で活動している。香港サッカー協会会員。1970年生まれの45歳。

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