2015.09.07 Mon

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

望月重良インタビュー「カンボジア戦で見えた“チーム作りの時間のなさ”ハリルとベンゲル、トルシエの共通点とは?」

――望月さんはトルシエ監督時代に日本代表に選ばれていますよね。ハリルホジッチとトルシエはタイプが似ているというか、選手にプレーを教えこむタイプのように見えます。

望月:そうですね。トルシエとハリルホジッチの共通点は、確固たるサッカー哲学を持っていること。トルシエには『フラット3』という独自のスタイルがあって、それをチームに植えつけるためのトレーニングをたくさんしました。自分はこういうサッカーがしたいんだという哲学のもとにチームを作り、選手たちには「こうしろ」「こうやって動け」とたくさんの注文をしました。それは、自分のスタイルを実行させるための方法ですよね。

――トルシエやハリルホジッチのように「自分のサッカースタイルはこうだ!」と打ち出すタイプの監督は他にいました?

望月:名古屋時代に教わった、ベンゲルがそうでした。組織で戦う部分がすごく強くて、選手に対する動き方、人とボールへの絡み方の要求がすごく細かいんですよ。ベンゲルもハリルホジッチも「与えられた仕事をすることで、選手一人ひとりがチームに貢献していく」という考え方ですよね。チームの為にプレーする部分は、細かく指示を出していました。南米の監督は選手の良さを出すために、ある程度自由にプレーさせる人も多いのですが、ヨーロッパの監督は細かいです。変な場所でボールを持ったら怒られますから。それが結果的に良いプレーになったとしても「そのプレーはチームとしては違う」と。自分の場合、プロ入りして最初の監督がベンゲルだったので、サッカーとはこういうものなんだなと思った記憶があります。

―プロになって最初に教わる監督がベンゲルというのも、あらためて考えるとすごい話ですよね。

望月:アマチュアのときとは指導方法もサッカーの考え方も、まったく違いましたからね。最初は違和感がありましたが、ベンゲルの指導を受けていたので、トルシエと接しても違和感なく受け入れることができました。他の選手は「なんで、そこまで言われなければいけないんだ」と思っていたようですが(笑)。監督には2通りあると思います。選手が気持ちよくプレーするサッカーをしたい監督と、自分のサッカー哲学のもとに、選手たちにそのスタイルをやらせる監督。前者の代表的なのが、ジーコ監督ですよね。ハリルホジッチもベンゲルもトルシエも後者で、自分のやりたいサッカーがあって、選手に細かい要求をします。

――ハリルホジッチのように、自分のやりたいスタイルがある監督は、チームに浸透させるための時間がかかりますよね。

望月:選手に自由にプレーさせるタイプではないので、自分の考えを刷り込むための時間は必要です。W杯のような大きな大会にならないと、まとまった時間がとれないので、そこはジレンマだと思います。彼のやりたいサッカーは、時間とともに作られていくものです。W杯予選のように、選手を集めて、1日、2日のトレーニングで試合をするスケジュールでは、なかなかチームとしての形は出ないと思います。ただ、明日8日のアフガニスタン戦はシンガポール、カンボジアと試合をしたフィードバックができますし、ヨーロッパから来た選手たちのコンディションも上がってくると思うので、発展は見込めると思います。

◆SC相模原が『海外プロサッカー選手育成プログラム』セレクションを実施!

9月22日(火・祝)、SC相模原が『海外プロサッカー選手育成プログラム』セレクションを実施する。これは、国内外でプロを目指す、17歳以上の選手を集めて行われるセレクションで、基準を満たした選手はSC相模原のトップチームコーチ、トレーナーのもとでチームとしてトレーニングを積み、プロのサッカー選手になるための素地を作るとともに、海外クラブへのセレクションに参加することができる。Jリーグ加盟クラブが行う、全国初の試みの狙いはなんなのか? 

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――ここからは『海外プロサッカー選手育成プログラム』について伺います。このセレクションは、どのような経緯で始めることにしたのでしょうか?

望月:僕はいままで、小中高、大学、プロと日本のトップレベルでプレーしてきました。その中で、サッカーの裾野の部分に触れる機会はほとんどなく、トップレベルの環境しか知らなかったんですね。ですが、SC相模原を立ち上げることになり、神奈川県の3部リーグからスタートしました。

――J1リーグから見ると、J2、J3、JFL、関東リーグがあって、県リーグはその下ですよね。

望月:そうなんです。下のリーグの選手であっても、トップレベルをめざして、サッカーを続けたい一心でトレーニングをして、真剣に取り組んでいる選手がたくさんいることを知りました。ただし、彼らはプロへたどり着く道であったり、プロになるためのコネクションもないのが現状です。そんな人達を手助けできる方法はないだろうかと考えました。

そこで今回のようなセレクションをすることで、プロになるためのメンタリティ、チーム戦術の理解といった、プロの第一線でプレーしてきた自分の経験を伝えることができるのではないかと思ったのが、セレクションを始めるきっかけです。若くて意欲のある選手はたくさんいるんです。でも、つてがなくてチームが決まらないケースが多いので、そのような状況にいる選手たちのサポートができればいいなと思っています。

 

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「プロになりたい選手をサポートしたい」と望月氏

――セレクションをすることによる、SC相模原のメリットはあるんですか?

望月:直接的なメリットはないかもしれませんが、サッカーの幅が広がるというか、サッカーの懐の深さを見せるのも、大切なことだと思うんです。これによって、SC相模原に関わりの出来る人も増えるだろうし。セレクションをして、海外へチャレンジするルートを作るというのは、どのJクラブもやったことのない試みですよね。海外にチャレンジ出来るかどうかは、その選手の能力次第にはなりますが、僕らができるのは環境を用意して、トレーニングを積ませてあげること。

プロを目指している中で、チームが決まっていない選手というのは、自分でランニングしたり自主トレをして、週末は友達の草サッカーに混じって…というぐらいしかできないのですが、現実的な話をすると、それではプロになることはできないんですね。それならば、僕らがプロ志望の選手を集めて、SC相模原のトップチームのコーチ、フィジカルコーチ、トレーナーのもとで定期的にトレーニングをして、チームプレーを学ぶ場を提供するとともに、選手として成長するきっかけを与えてあげることができればと思っています。

――セレクションに合格すれば、SC相模原のトップチームと同じようなトレーニングができるわけですね。たしかに、個人でプロを目指していると、ちょうど良いレベル、環境でトレーニングをすることについて、難しい現状があります。

望月:タイミングが合わずに、チャンスをもぎとれない選手もたくさんいると思います。こういうチャンスを利用することで、力をつけてステップアップする選手もいるかもしれません。力があるんだけど、チャンスに恵まれなかった選手たちを集めて、しっかりとトレーニングを積ませて、海外にチャレンジするチャンスを与えてあげたい。そして、次のステージに送り出してあげたい。それが、今回のセレクションをするにあたっての、僕の想いです。それが結果として、日本サッカーの裾野を広げることにもなると思っています。

<SC相模原『海外プロサッカー選手育成プログラム』詳細はこちら>

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