2015.09.07 Mon

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

望月重良インタビュー「カンボジア戦で見えた“チーム作りの時間のなさ”ハリルとベンゲル、トルシエの共通点とは?」

現役時代は名古屋グランパス、ヴィッセル神戸などで活躍し、日本代表としてコパアメリカ99、アジアカップ2000に出場した望月重良氏。引退後はSC相模原を作り、神奈川県リーグから6年でJ3に押し上げるなど、ピッチ内外で日本サッカーに貢献している。日本代表時代に加茂周、フィリップ・トルシエ監督のもとでプレーした望月氏は、3日に行われた、ロシアW杯アジア2次予選・カンボジア戦をどう見たのか? 代表経験者ならではの視点で分析してもらった。(取材・文 鈴木智之/フットボールエッジ編集長)

――W杯アジア2次予選・カンボジア戦は日本が3-0で勝ちました。ただ、シュート34本を打って3点しか取れなかったことについて、批判的な論調もあります。望月さんはカンボジア戦について、どのような感想をお持ちですか?

望月:カンボジアとの力の差はあきらかで、勝つ事自体はわかっていた試合でした。そこで、シンガポール戦のように引き分けに持ち込まれることなく、3-0で勝ったことは良かったと思います。この試合はW杯予選で、勝ち点3を取ることが絶対条件です。当然、選手たちはもっと点を取りたかっただろうし、サポーターもそれを望んでいたと思いますが、レベルの差のある相手と試合をして、内容的に良かった・悪かったと論じるのは非常に難しいんですね。ジャイアントキリングを狙ってきたカンボジアに対して、それをさせずに勝ち点3を獲った。これはW杯予選なので、それでOKですよね。

――ハリルホジッチ監督のスタイル、めざすサッカーの印象は?

望月:すごく良いと思います。ハリルホジッチが言う『縦に速く、シンプルに攻めるサッカー』を積み重ねていけば、チーム力は上がっていくと思います。ただ今回の試合についても、チームを作る上で、あまりにも時間がないのが現状です。その前提をとばして議論をしてもしょうがない気がします。チーム作りは、一朝一夕でできるものではないですからね。だって、いまは選手個々のアイデアでプレーしている部分が大半ですよね。

――たしかに、集まって数日間練習をして、すぐに試合を戦わなければいけません。練習の回数も限られているし、ミーティングで戦術を植え付けることにも限界があります。選手たちの戦術的な理解力が高く、言われたことをすぐに実行できるのであれば別ですが。

望月:ハリルホジッチ監督の下で、もっとトレーニングをする時間があれば、チーム力は上がると思いますが、現状では難しいですよね。極端な話、W杯やアジアカップなどの大きな大会にならないと、まとまってトレーニングする時間がないわけですから。この前のシンガポールもカンボジアも、W杯予選は真剣勝負なので、必死になって向かってくるわけです。その相手に数日間のトレーニングしかできず、格下相手とはいえ、結果を出さなければいけない。ハリルホジッチ監督は難しい状況の中で、よくやっているなというのが率直な感想です。

――見る側としては、カンボジアはあきらかに日本より個のレベルが劣るので、大量得点で勝つだろうと思っていますが、本質的なチーム作りの難しさ、プロセスを見ていかないといけないですよね。

望月:評論家やサポーターは「3点じゃものたりない」など、色々と言うと思いますが、選手からすると、あそこまでチームとしても選手としても能力に差があると、もはやサッカーの試合ではないというか、それについて良い・悪いとは言えない。ただし、シンガポール戦のように一方的に押し込んでいても、点が奪えないことも起こりうるのが、サッカーというスポーツ。そこで、勝ち点3を取ることができた。それ以上でも以下でもないと思っています。

――選手個人で気になっている選手はいますか?

望月:武藤選手はいま注目されていますが、ヨーロッパで活躍して、日本代表の主軸になっていくぐらいのポテンシャルはあると思います。ただ大切なのは、代表の国際試合で何が出せるのか。所属チームで活躍しているから、代表に呼ばれているわけですよね。その次に必要になるのが、代表の試合で結果を出せるか。そういった意味では、武藤選手も宇佐美選手もこれからだと思うし、本田選手や岡崎選手のほうが代表では結果を残しています。若い選手は、彼らを結果で越えていかなければいけないわけです。

<次ページ>ハリルホジッチとベンゲル、トルシエの共通点とは?

1 2

◀︎前の記事 トップ ▶︎次の記事