2015.09.04 Fri

Written by EDGE編集部

Jリーグ&国内

幸野健一のエッジな人「どうやってグラウンドを作る?」JFAグラスルーツ推進部部長・松田薫二(2)

サッカーと共に生きる人を紹介する『エッジな人』。サッカーコンサルタントであり、アーセナルサッカースクール市川代表の幸野健一さんが聞き手を務めるこの連載。ゲストは日本サッカー協会(以下、JFA)の松田薫二さんです。松田さんは2015年に新設された『グラスルーツ推進部』の部長として、草の根サッカー(グラスルーツ)の拡大を推し進めています。対談第2回は、サッカー界の大きな問題である『グラウンド確保』について迫ります。果たして、どうすればグラウンドの数を増やすことができるのでしょうか?(取材・構成 鈴木智之/フットボールエッジ編集長)

【第1回はこちら】

松田:結局、リーグ戦をするにしてもグラウンドの問題がありますよね。日本のスポーツは学校体育とともに発展してきた経緯もあり、昔はほとんどが学校のチームでした。とくに4種は小学校のクラブ活動や小学校の校庭を利用した少年団を中心に活動していました。いまはサッカー人口の増加とともにクラブチームが増えてきて、結果としてプレーする場、グラウンドが不足しています。公共のグラウンドは小学生から大人まで、すべてのカテゴリーで取り合っている状況があって、ひとつの場所で続けていきにくくなっています。

幸野:そうなんです。

松田:日本の現状を考えると、学校には必ずグラウンドがあるので、そこを拠点にした多世代のクラブができることが、解決策のひとつだと思っています。学校という地域に密着した場所、変わらずにあり続ける場所があれば、一度サッカーから離れてしまった人も、戻って来やすくなると思います。

幸野:そこで重要になるのは、学校の施設を使っていながら、学校とは切り離した団体であることですよね。まさに地域密着型のスポーツクラブです。

松田:そうそう。部活動ではなく、クラブにする考え方ですよね。

幸野:文部科学省も『社会体育は、地域の総合型スポーツクラブに任せなさい』という通達を出しているのですが、それがまだ知られていません。

松田:学校の先生側も、地域のクラブをよく思っていない方もおられて「部活動は教育の一環なので、地域のクラブでは教育はできない」と言われることもあります。確かにサッカーだけ教えて、教育的なことは指導しないクラブもあります。教育的にも受け皿になれるような機能がクラブにも必要なのだと思います。

幸野:おっしゃることはよくわかります(苦笑)。ただ実際に、現場の先生方は、やりたくもないのに部活の顧問をさせられて、疲弊している現実もあるわけじゃないですか。一日千円ほどの日当で、週末も部活動の面倒を見なければいけない。それは先生にとっても不幸な状況ですよね。

松田:そう思います。私の母校でもある広島の草津小学校と庚午中学校では、小学校と中学校の生徒たちのために、学校を拠点とした合同のサッカークラブを作っています。そこで、中学校の部活の選手は、全員クラブの選手として活動しています。ゆくゆくは総合型スポーツクラブにしようとしています。今後、このようなケースが増えて行けば良いと思っています。

ほかにも、高校のグラウンドを地域の子ども達のために開放し、総合型スポーツクラブを立ち上げて活動しているところもあります。将来的にはクラブと部活動を融合しようと考えておられます。既存の制度や慣習の中で新しいことをしようとすると、周りの理解を得られない事が多いのですが、チャレンジしている先生方もおられます。

<次ページ>学校の持っているハード(グラウンド)と地域のスポーツをどう結びつけるか

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