2015.08.17 Mon

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

【久保田コラム】コーチのあり方ってなんだろう?『協同探求』『協働探究』をサッカーでも表現したい! のはなし

最初はそんな僕のスタンスに選手達も戸惑いを感じていましたが、慣れてくると笑顔で練習するようになり、動きにも余裕と遊びが出てきて、プレーも確実に進歩していきました。

練習が白熱しすぎて、僕が次のメニューに進めようとすると「ちょっと待って! 作戦タイムするから!」と勝手に選手達が練習を止め、解決方法を考え始める風景が当たり前のようになっていました。

十文字では、中学の練習が終わった後に高校の練習が始まります。僕が中学の子達との練習を終えて帰ろうとするタイミングで、高校サッカー部の先生が校舎から降りてきて「おークボタくん! せっかくだから、練習に混ざってよ!」という日が何度もありました。

今でも忘れらない出来事があります。ある日、高校の練習ゲームに混ざった時のことです。十文字高校・女子サッカー部の子達は、全国に行くようなレベルなので、プレースピードも速く、技術も相当に高いし、インテンシティも強い。そんな子達のゲームに混ざるのならば、変な姿は見せられないぞ、いいトコ見せないと! と、僕の中でスイッチが入りました。

その試合で披露したのは、自画自賛の完璧なプレー(笑)。ファーストタッチで相手に触られない場所にボールを置き、ツータッチ目で確実にさばく。そしてまた受けて、さばく。シンプルにシンプルに、彼女達の速いプレースピードと速い寄せのリズムを壊さないように、受けてさばく。サッカーの教科書に出てくるような、完璧なボディシェイプと視野の確保です(笑)

終わってみたらノーミスで、一回もボールを奪われませんでした。シンプルにさばいて、彼女達のプレーのリズムを壊さなかったし、ミスって変な目で見られることもなかった。いやー、我ながら巧くできたな、いいトコ見せられた、満足満足! みたいな感じで練習を終えたのですが…。

あれ…。いやいや、ちょっと待てよと。そして段々と「何やってんだ俺…」と、心の中がざわざわし、強烈な自己嫌悪におそわれたんです。

ノーミスで終わったということは、裏を返せば何もチャレンジしなかったということ。ボールを奪われないように、寄せてくる相手に背を向けてトラップして、ツータッチ目でさばくことの繰り返し。それを繰り返して、ノーミスで終わった。はい、満足!って…。俺はコーチとして何にも伝えてないじゃんか、と。

<次ページ>指導者の自分が見せられなかった、チャレンジする姿勢

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