2015.05.28 Thu

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

【久保田コラム】策士であり “人たらし”。選手たちと遊ぶように接して、全国3位になった奇将のはなし

大好評、久保田コラムの3回目は、京都精華高校女子サッカー部の監督をつとめる、越智健一郎さんのおはなしです。選手たちの心をつかんで離さない独特なスタンスで、同校を全国3位に導いた越智さんが実践する「選手たちに気持ち良くサッカーしてもらうための仕掛け」とは、いったいなんでしょうか? (文・久保田大介/SUERTE juniors 横浜)

京都は鴨川のほとりにある、京都精華女子中学校・高等学校。今回のコラムでは、京都精華女子高校サッカー部を率いる越智健一郎さんを紹介したいと思います。

いきなりですが、越智さんを表すキーワードを、いくつか上げておきます。「策士、奇人、変人、人たらし」。これらを念頭に入れ、お読み下さい(笑)

京都精華は2013年1月に行われた「第21回全日本高等学校女子サッカー選手権大会」で快進撃を見せ、3位になりました。

その前から僕と越智さんはFacebook上では繋がっていたのですが、面識はなく。しかし精華が全国3位になった直後の週末に、越智さんが僕を訪ねて来てくれたんです。

僕が東京都立国際高校女子サッカー部のコーチとして参加した新人戦の後、フェンス越しに「越智です」と声をかけてきてくれたその時から、越智さんと僕との、ヘンテコだけど楽しくエキサイティングな付き合いが始まりました。

初めて会った次の週、さっそく京都精華へ遊びに行かせてもらいました。その時、一緒に練習をさせてもらったのですが、自由な雰囲気と、私服姿で一緒に遊んでいるようなフランクなスタイルで選手たちに接する越智さんと、楽しそうに練習に没頭する選手たちの姿に、僕は完全に心を持っていかれました(笑)

しかも選手たち、超絶にうまい。ほぼリフティングとドリブル練習しかしていない感じだけれど、その密度はとても濃く、レベルも高い。そしてどんどん次のメニューへと転換していき、疲れを感じる間もなく、ジェットコースターのようにスリルを味わいながら、気持ち良く乗せられていく。

しかもここがポイントなのですが、越智さんの練習は脳と足をバラバラに作用させるライフキネティック的な要素が満載なので、上手い子でも、平気でミスをします。だから選手間にレベルの差があっても、劣等感に繋がらない。それゆえに精華の選手たちは、とことんサッカーを楽しめる。そんな感想を抱きました。

そして心にゆとりがある状態でプレーをするから、ゲーム中のアイデアは豊富。普段の技術練習の賜物で、ボールを扱うことに対するストレスが一切なく、密集でもガチャガチャと相手にぶつからないし、無駄なスピードアップもなく、ぶつかりそうになったら「くるりんっ」とアウトサイドで反転し、いとも簡単に相手をいなしてしまう。

「アウトサイドが世界を変える」(越智さん談)

精華のサッカーを言葉で表現するとしたら「くるり、ふわりと舞いながら、ゆるりと楽しみ、突然、蜂のように刺す」。そんな感じでしょうか。

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