2015.05.27 Wed

Written by EDGE編集部

アジア

目指せ、10年後の東南アジア王者。日本人指導者のもと、14歳に英才教育を施すカンボジアの『10年計画』

写真:本多辰成

ワールドカップ・ロシア大会のアジア2次予選で、日本と同グループに入ったカンボジア。急成長する東南アジアの一国だが、経済でもサッカーでも他国に一歩遅れをとっているのが現状だ。そのカンボジアで、日本の協力のもと、東南アジアチャンピオンを目指す「10年計画」がスタートした。今回はカンボジアU-14代表チームを率いる、壱岐友輔氏の活動レポートをお届けする。(文・写真 本多辰成)

2023年に「東南アジアのオリンピック」と呼ばれる東南アジア競技大会が、カンボジアで開催される可能性が高い。カンボジアではこの一大イベントで、同国サッカー史上初の東南アジア王者になることが、目標に掲げられている。

壮大な目標を達成するための拠点が、首都プノンペン郊外に作られた「ナショナル・フットボール・トレーニングセンター」だ。周囲には何もない環境の中に、天然芝のグラウンドが4面と宿泊施設が完備されている。

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東南アジア競技大会のサッカー競技は、オリンピック同様、23歳以下の代表チームによって争われる。そのため「ナショナル・フットボール・トレーニングセンター」には、2023年のU-23カンボジア代表となる15歳以下の有望選手が集められ、共同生活を送りながら集中的に強化を行っている。

カンボジアサッカーにとっての“一大プロジェクト”を託されたのが日本だ。昨年、日本サッカー協会のアジア貢献事業の一環として、ベガルタ仙台の育成組織を指導していた壱岐友輔氏がU-14カンボジア代表監督に就任。自らもプノンペン郊外の施設に泊まり込み、付きっきりで指導に当たっている。

壱岐監督が担う仕事は選手育成、スカウト、環境整備、プロモーションという「四本柱」。「スカウト」については、日本のようにチームや選手の登録制度が整っていないため、どこにどのような選手がいるのか把握するのが難しく、制度の改革から取り組む必要があるのだという。「プロモーション」とは、アカデミーの活動を国内に浸透させること。「選手育成」と「環境整備」については説明の必要はないだろう。

プロジェクトは一から選手をセレクションするところから始まった。しかし、出だしからつまずいた。セレクションで選ばれた選手たちが全員「オーバーエイジ」だったのだ。結局、壱岐監督が選んだ選手とは別メンバーでのスタートとなり、当初はレベル的に「厳しい」と感じた面もあったという。だが、選手たちの成長スピードは早く、文化のギャップによる問題も杞憂に終わった。

壱岐監督は言う。

「日本とカンボジアの間に文化の違いはありますが、アカデミーの中での“文化”は作ることができます。家庭や国の背景でどうしても譲れないところは合わせなければいけませんが『時間を守りなさい』『自分のことは自分でしなさい』など、基本的には日本と同じようにしています。そこは心配していたんですが、まったく問題ありませんでした」

コーチを務めるカンボジア人のペックディー氏も「壱岐監督はカンボジアの文化を理解している。最初から100%日本スタイルだと、カンボジア人にとっては厳しすぎると思うけど、バランスをとってやってくれている」と好意的に受け止めている。

<次ページ>アジアで求められる『日本サッカーの力』

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