2015.05.20 Wed

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

幸野健一のエッジな人 第4回「2年後、日本に一泡吹かせたい。育成のレジェンドが描く未来」黒田和生(後編)

サッカーと共に生きる人を紹介する『エッジな人』。サッカーコンサルタントであり、アーセナルサッカースクール市川代表の幸野健一さんが聞き手を務めるこの連載。ゲストは黒田和生さんです。黒田さんは監督として、滝川第二を全国屈指の強豪にするとともに、岡崎慎司を始め、多くのプロ選手を輩出した名伯楽です。滝川第二を勇退後、2012年に5年間所属したヴィッセル神戸を離れ、台湾へ渡りました。現在はチャイニーズタイペイ協会で育成年代の指導、組織づくりを行っています。66歳を迎えてもなお現場に立ち、サッカーの発展と強化に力を注ぐ、黒田さんとの対談・後編をお届けします。

【前編はこちら】

幸野:選手個人のモチベーションはすごく大切だと思います。メンタル面へのアプローチについては、どのようにしているのですか?

黒田:最初に選手たちに言ったのは『人の話を聞こう』でした。台湾の人は大人も子どももそうなんですが、人の話をあまり聞かないんですね。一方で、自分の意見はすごく主張します。選手たちに『今日の試合の感想についてどう思う?』と聞くと、しっかりと自分の言葉で話します。日本の選手とは反対ですよね。日本の場合、みんなに聞くと誰も答えず、名指しするとようやく出てくる。台湾の選手は練習メニューについても、試合の反省も、とにかく主張が多いです。

幸野:相手の話を聞くことを徹底させたわけですね。最初から、彼らは素直に聞き入れたのですか?

黒田:最初の合宿の面談などで信頼関係を作ったので、わりとすぐに聞いてくれるようになりましたね。

幸野:以前、黒田さんが台湾の現状を報告された記事を見ました。そこには、攻撃的だけど持久力がない。技術レベルが低く、守備の組織がない。一方で審判のジャッジには素直だなど、色々ありました。台湾のサッカースタイルはどのようなものですか?

黒田:非常に攻撃的で、シュートを撃つのが大好き。そこも日本とは違いますよね。ゴールから遠くてもシュートを撃つので、もう少し待てと指示をしたり。角度のないところからでも撃つので、『こっちにフリーの選手がいるだろう。周りの状況を見て、チームで点を取ることを考えたらどうだ?』と、最初のうちはやかましく言いましたね。子どもの頃から、どんどんシュートを打っちゃうから。

幸野:持久力がないとおっしゃっていたのは?

黒田:中学年代に、量を走るトレーニングが少ない印象を受けます。これは、JFAアカデミー福島のデュソーさんも言っていましたよね。

幸野:JFAアカデミー福島でデュソーさんがやっていたのは、ボールトレーニングと持久力を合わせたトレーニングです。すべての練習でボールを使いながら、心拍数を160~180間で維持するトレーニングを90分という短い時間で終わらせる。だから、疲労によるケガも少なかった印象を受けます。科学的なトレーニングは間違いなく効果があるし、私の息子(幸野志有人・FC東京/JFAアカデミー福島出身)がプロになって、FC東京の持久力の数値を見たら、長友佑都選手の次でしたから。

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