2015.05.07 Thu

Written by EDGE編集部

Jリーグ&国内

悪性リンパ腫と戦いながらも、ユベントスとの大一番で活躍した、元Jリーガーのはなし

写真:池田尚也

前日本代表監督アルベルト・ザッケローニ氏が率い、トレゼゲ氏やラバネッリ氏などの来日が話題となった「九州レジェンズ vs ユベントスレジェンズ レジェンドマッチ 2015」。この試合でピッチに立ったのが、悪性リンパ腫と戦いながらもサッカーに取り組む、元ロアッソ熊本MF斉藤紀由だ。(文・池田俊輔/写真・池田尚也)

4日、ベストアメニティスタジアムで「九州レジェンズ vs ユベントスレジェンズ レジェンドマッチ 2015」が開催された。

この試合はサガン鳥栖とユベントスがユースチームなどの活動を通じ、交流していることから実現。前日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏率いる「九州レジェンズ」には、元日本代表MF前園真聖氏やMF三浦淳寛氏らが参戦した。

元イタリア代表のジャンルカ・ペッソット氏率いる「ユベントスレジェンズ」には、元フランス代表FWダヴィド・トレゼゲ氏の他、ジュビロ磐田でも活躍したイタリア・ワールドカップ得点王のサルヴァトーレ・スキラッチ氏や元イタリア代表のファブリッツィオ・ラバネッリ氏など、豪華な顔ぶれが並んだ。

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試合は元サガン鳥栖FW新居辰基選手の2ゴールなどで、九州レジェンズが5対3で勝利。ユベントスレジェンズは敗れはしたものの、トレゼゲが現役時代を彷彿とさせるボレーシュートを含むハットトリックの活躍。レジェンドが見せたスーパープレーに、14,943人のファンは大いに沸いた。

◆悪性リンパ腫と戦いながら、ピッチに立った斉藤紀由

この試合に出場した選手のなかに、異色の経歴を持つ選手がいる。九州レジェンズの背番号8を付け、後半から出場した斉藤紀由だ。現役時代はロアッソ熊本で活躍し、引退後は東京の六本木で飲食店(UNION)を経営。現役選手やサッカー関係者が集まる場所として、サッカー業界では有名なお店である。

そんな彼に悲劇が襲ったのは2年前の夏。病名は悪性リンパ腫。リンパ系の組織から発生する、血液の癌である。彼は当時のことをこう振り返る。

『まさか自分が癌になるとは…。思ってもみなかったです。メンタルは弱くはないほうですが、正直びっくりしましたし、その後、色んなことが駆け巡りました。俺、死ぬのかなとか、家族はどうなるのかな、お店は、スタッフは…』

そこから1年間の闘病生活を経て、サッカーをプレーできるまでに復活を遂げる。

「本当に仲間に支えられました。たくさんの方にお見舞いに来ていただいたり、カズさんや香川君もサイン入りのユニフォームをプレゼントしてくれたり。仲間が僕のチャリティーTシャツを作ってくれたり。早く治して、みんなに恩返ししようと思いました」

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◆斉藤のアシストで久保竜彦がゴールを決める!

闘病中も仲間との草サッカーやJリーグの前座試合など、大好きなサッカーは続けていたが、オフィシャルマッチは『レジェンドマッチ 2015』が初となる。

「今回は6年ぶりの九州ですし、ロアッソ熊本のサポーターの方々が僕のチャリティーTシャツを購入し、着て頂いている映像を見て励まされました。皆さんに、しっかりと僕のプレーを見て頂けるように、コンディションを作ってきました」

その言葉通り、詰めかけた大観衆の前で、ユベントスレジェンズから勝利をたぐり寄せる久保竜彦氏のゴールを見事にアシストし、63分には新居辰基氏のゴールの起点にもなった。

斉藤は試合後、笑顔でこう振り返った。

「たくさんのお客さんに来て頂いた中で、ユベントス相手に素晴らしい試合ができたと思います。いまは何でもアクティブにいこうと思っています。生きている喜び、生きている時間を有意義に過ごしたい。スマイルファイトでがんばります」

<次ページ>癌と笑顔で戦う、スマイルファイト

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