2015.05.05 Tue

Written by EDGE編集部

Jリーグ&国内

今、Jリーグで最も「見る者を感動させるGK」ヴァンフォーレ甲府・荻晃太選手

山野さん

写真:Yamano Yoji

『GK』の重要性と価値を高め、日本人GKが世界で戦えるようレベルアップに貢献する事を目的に、GKコーチ・アドバイザーとして活動中の山野陽嗣氏。かつて「世界で一番治安が悪い国」と言われたホンジュラスに単身で乗り込み、GKコーチとして国内リーグで高い評価を得るとともに、ホンジュラス年代別代表のGKコーチにも選ばれた経験を持つ人物です。そんな山野氏がGKコーチの視点から、GKのプレーを分析。プロフェッショナルだからこそわかる「GKの重要性」「良いプレー」「悪いプレー」を解き明かしていきます。(初出:元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」)

ヴァンフォーレ甲府GK荻晃太選手。

今、僕の中で、Jリーグで「最も見る者を感動させるGK」です。

ヴァンフォーレ甲府は5月4日時点で9試合を終えて勝点6、得点3、失点17。すべてがJ1全18チーム中「ワースト」で最下位に低迷しています。あまりにも苦しいチーム状態…そんな「絶望的」な状況の中で、必死にゴールを守っているのがGK荻選手です。

GK荻選手は、例えどんなに失点しても、どんなに絶望的な状況に追い込まれても、絶対に最後まで諦める事なく全力でボールに食らい付きます。そんなGK荻選手の姿を見て、僕は感動せずにはいられません。彼の姿を見ていると、思わず涙がこぼれ落ちそうになります。

GK荻選手が「いかに凄いか」について、ここまで行われた第9節までの甲府の全試合のデータをもとに書いていきます。

【甲府の第9節までの勝敗表】

● VS 広島 (0-2)
○ VS 名古屋 (1-0)
● VS G大阪 (0-2)
● VS FC東京 (0-1)
● VS 神戸 (1-4)
● VS 鳥栖 (0-3)
● VS 川崎 (0-3)
● VS 浦和 (0-2)
○ VS 鹿島 (1-0)

ここまでの甲府の総失点「17」はリーグワースト。しかも、その内「ぺナルティエリア内」から決められたシュートは実に「14」。この数字は、いかにGKにとって「絶望的」な状況からシュートを打たれているかを物語っています。

実際に僕は甲府の全失点シーンを見ましたが、チームとして完璧に崩されてフリーでシュートを打たれている場面がほとんどで、どれもGK荻選手にはどうしようもない失点ばかりでした。GKにとっては、ほとんど「拷問」に近い状況…。残り3つの「ぺナルティエリア外」からの失点にしても、シュートは完璧で、GK荻選手には全くのノーチャンスでした。

それでもGK荻選手は、例えどんなに失点しても、どんなに絶望的な状況に追い込まれても、絶対に最後まで諦める事なく全力でボールに食らい付きます。その活躍は本当に涙ぐましいほど…。実際にそれで止めたシーンは数知れず、GK荻選手が止めているからこそ「失点が17で済んでいる」とも言えるのです。

◆荻選手が見送ったシュートはわずか1つ

いかにGK荻選手が「絶対に最後まで諦める事なく全力でボールに食らい付いているか」を表す「驚愕のデータ」があります。僕はここまでの甲府の全17失点を全て見て分析しましたが、この17失点の中で、GK荻選手が「見送った」シュートは何とわずか「1つ」しかなかったのです!! たったの「1つ」ですよ!! あとの16失点は、どんなに絶望的なシュートでも全て「反応している」。

しかも、ただ反応しているだけじゃない。体を100%伸びきって全身全霊で反応している。見送った1つの失点にしても、G大阪戦の倉田秋選手が決めたスーパーゴールで、見送ったというよりは「どうやっても反応が不可能」なゴール。GKにとっては「成す術がない」ものでした。

 【守備範囲を10cm伸ばす方法】で「諦めて反応しなければ止められる確率は『0%』だが、どんなに絶望的なシュートでも諦めず反応すれば止められる確率は『0.01%』はある。勝敗を分けるのはその『0.01%』。『0.01%』がチームを救う」と書きました。GK荻選手のプレーからは、正にこの「0.01%」に懸ける想いが伝わってくるのです。だからこそ、見る者を感動させるのです。

<次ページ>荻選手のミスによる失点はゼロ!

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