2015.04.14 Tue

Written by EDGE編集部

インタビュー&コラム

【インタビュー】『ペップ・グアルディオラ』があまりにも面白かったので、担当編集さんに裏側を聞いてきた(1)

2015年4月に発売されると、瞬く間に話題の書となった「ペップ・グアルディオラ~キミにすべてを語ろう」マルティ・パラルナウ著/羽中田昌+羽中田まゆみ訳(東邦出版)。個別インタビューはほとんど受けないグアルディオラが、信頼するジャーナリストに対して、バイエルンでの1年目に密着することを許可。練習場から試合前のロッカールームまで、すべての場所に入ることを許された著者は、世界トップクラブの内部で何が起きているのか、チームを率いる指揮官は何を考え、悩み、決断しているのかを明らかにしていく。圧倒的な密度とリアリティで描かれた傑作ノンフィクションについて、編集を担当した東邦出版編集長の中林良輔氏に制作の裏側を訊いた。(聞き手・鈴木智之/Football EDGE編集長)

鈴木:『ペップ・グアルディオラ』読みました。本を手にとってまず思ったのが、表紙(装丁)がカッコいいなと。タイトル文字の入れ方とフォント、写真の処理の仕方、帯のメッセージ。中身を読む前から、この本は絶対に良い本だと確信しました。で、読んでみたらやっぱり面白い。あまりにも面白かったので、編集担当の中林さんにインタビューを申し込んだぐらいで(笑)

中林:ありがとうございます(笑)。この本以外にも、ペップの本はたくさん出版されていますが、ペップ自身が本音を喋ったという意味では初めての本です。そのため、表紙などのデザインはこれまでの本と差別化をしたいと考えました。この本はペップ公認とはいえ、自伝ではありません。そう考えると、顔がアップで正面を向いてという、いわゆる王道のデザインはできないなと。そこで、どうするかをデザイナーさんと相談した結果、このような表紙になりました。後ろ姿の写真を使い“背中で語らせる”というのは、本人の評伝としてはだいぶ異質だと思います。

2015-04-13 14.59.40


鈴木:
『ペップ・グアルディオラ』は翻訳本なので、中身を大幅に変えることはできませんよね。編集者として、どの辺りに一番気を使いましたか?

中林:一番気を使ったのは装丁(表紙)ですね。内容については、手にとって読んでもらえさえすれば、これまで出たペップ本とは違った面白さは伝わると思っていました。あとは帯に書いてある文言です。「君が見たことや感じたことを、すべて本に書いてかまわない。しかしシーズン中は、チーム内で見たことは、一切口外しないこと」。これは私が選んだのですが、すごくパンチがある言葉ですよね。


<シンプルな原書の表紙>

 

鈴木:オリジナル版の帯にも、同じ文言が載っていたのですか?

中林:実は、海外の本には帯がないんです。なので、原書の表紙はドイツ語でミスターを表す「Herr」という言葉がついた「Herr PEP」というタイトルと著者名だけが載っています。

鈴木:帯の文言って、めちゃくちゃ重要ですよね。

中林:重要ですね。この本の帯にある「一切口外しないこと」という文字を目立たせたのは、デザイナーさんのアイデアです。ペップが本音を語った部分がこの本の一番の売りなので、そこをはずさないようにと考えて、いちばんいい文言を抽出しました。

鈴木:帯の文言はすぐに決まったんですか?

中林:タイトルも含めて、すごく悩みましたね。私は編集者の仕事の半分ぐらいは装丁だと思っています。この本の表紙やサブタイトル(キミにすべてを語ろう)は、私がつけたのですが、以前、出したピルロの自伝は、本人が自伝として出したものなので「表紙の写真とタイトルは事前に教えてほしい」というのが契約に入っていました。ただ、今回の本はジャーナリストが書いたものなので、ほとんど制約はありませんでした。

<次ページ>原書が発売される前から、即決で日本での版権を獲得

 

 

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