2015.04.07 Tue

Written by EDGE編集部

Jリーグ&国内

【Japan In-depth】私たちはサッカーで地球の裏側と繋がっている~日本で一番人気のスポーツとは?~

写真:Hirama Takashi

日本で最も人気があるスポーツは何だろうか。初場所に続き春場所も満員御礼となった大相撲も大衆の娯楽として親しまれており、人気も回復してきているが、それでも一番人気となると、やはり野球かサッカーのどちらかだろう。(提供:Japan In-depth/文・瀬尾温知)

なぜこの問いかけをしているかというと、先日ブラジルで中学生の輪に囲まれて、「日本で一番人気のあるスポーツって何?」と質問されてしまったのである。間違った答えはしたくないし、かといってこれといった論証も持たぬまま、ちょいと考えてから「ベースボール」と返答していたのである。

ちょいと考えたのは、判断の基準をどこに置いたらいいのかと思考を巡らせたからで、メディアによって伝達される割合を判断基準と決め、導かれた答えが野球だった。

プロ野球は、オープン戦、キャンプ情報など、シーズン前から大々的にニュースとして扱われる。Jリーグの開幕前に行われているプレシーズンマッチの扱いと比較すると、雲泥の差になる。

さらに野球には、日本人の生活から切っても切り離せない高校野球がある。特に夏の甲子園大会となると、もはや風物詩となっており、感動そして感涙して心が浄化され、各々が過ぎ去っていった夏の記憶に思いを馳せるといった特別なものを提供してくれる。

幼少時にサッカークラブに入っていた拙者は、毎週日曜日になると90とデザインされたスパイクを履き、オレンジ色のユニフォームを着て、多摩川河川敷のグラウンドに通っていた。足元は長嶋監督モデルのスパイク、シャツはトータルフットボールのオランダ代表といったコーディネイトを無意識にしていたくらい、野球もサッカーも好きである。

どちらも好きだからといって、Jリーグのプレシーズンマッチを野球のオープン戦と同等に扱ってほしいと訴えたいわけではない。ただ、少なからず不満はある。主要メディアのテレビ局と新聞社が、Jリーグのシーズンオフやほぼ週1回のリーグ戦の合間に取り上げる情報量への不満である。

「一番人気のあるスポーツって何?」と質問されることがない国のブラジルでは、国内最大放送局のGloboで月曜から土曜の昼の時間帯に約30分間のスポーツニュース番組が流れている。NHKで正午のニュースのあとにスポーツニュース番組が編成されているような感覚である。言うまでもなく冒頭から番組の半分以上はサッカーの話題になる。試合がなくても、各クラブの動向や注目されている選手・監督へのインタビューなどによって、日々の番組は埋め尽くされている。

そこで提案である。放送局の方々、日本でも昼休みの時間帯にスポーツニュースの新番組をはじめてはどうだろうか。スポーツの情報量を増やし、新たな放送枠を設けてはどうだろうか。東京オリンピックは2020年に控えているし、時機は最適である。

バスの車窓から眺めていて、富士山が壁画に描かれていたのが目に留まった。並んで描かれているものも、ドイツ、イタリア、アルゼンチンといった国々を連想できる絵になっており、ワールドカップ・ブラジル大会出場国がブラジルの学校の壁一面に横並びになっていた。そこで写真を撮ろうと、後日赴いたのだった。

ところがちょうどその日、生徒が総出になって壁画を消す作業をしていて、「人種差別撲滅」をテーマに新たな絵を描いているところだった。その光景にレンズを向けてシャッターを切っていると、「日本で一番人気のあるスポーツって何?」と質問されたところから、ブラジルの中学生との会話は始まっていた。

そして「写真は何に使うの?」とも聞かれ、「“ブラジルは1対7の屈辱を消し去ろうとしている”と題して記事にするんだよ」と冗談めかして言ったあとの少年達の屈託のない笑みに、片方の瞳でシャッターを切って笑顔を見せ合った。サッカーは、地球の裏側ともつながっている。

 

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提供元  < Japan In-Depth >

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