2015.03.27 Fri

Written by EDGE編集部

日本代表

ハリルホジッチが目指す日本スタイル。キーワードは“縦への速さ”と“グラウンダーのコンビネーション”

写真:Matsuoka Kenzaburo

前回の記事で取り上げたゾーンディフェンス、球際の甘さ、あるいは自信なさげなプレーに表れるメンタルの問題など、ハリルホジッチは日本サッカーが抱える弱点をたくさん指摘してきた。しかし、それはもちろん長所を認めているからこそ。日本人の良さをいかに最適化するか。ハリルホジッチの指導テーマはそこに集約されると言っていい。チュニジア戦前日のトレーニングでは、その点が強く感じられた。(取材・文 清水英斗)

チュニジア戦を翌日に控えた日本代表は、公式練習をメディアに公開した。

選手たちはいつものようにピッチの外周をジョギングした後、フィジカルトレーニングへ移行。ラダーやミニハードルを使った瞬発系のコーディネーショントレーニング、さらにトレーナーの指示に反応するスプリントなど、約30分に渡って行われた。

その後は、コンビネーショントレーニングへ。選手たちは4つ置かれたポールの側に立ち、斜めにパスを出して、戻して、ワンタッチで縦パス。落としたボールに3人目が動き出し、さらに縦へパス。ハリルホジッチ監督は選手たちにワンタッチプレーを速く、正確に繰り返すことを要求した。

ありふれた練習メニューではあるが、目についたのは距離感の狭さだ。4つの段に分かれたポールの最後尾から最前列までの長さは、約15メートル程度。敵陣をイメージしたであろうセンターサークルの端から、ペナルティーアークの手前までの距離である。

通常、ポールを立てる場所をアバウトに決めることはない。自身のプレーモデルに従い、意図のある距離に配置する。ポールの位置から読み取るに、ハリルホジッチはかなり密集した状況を、ワンタッチプレーの連続によって崩す攻撃を求めているようだ。

◇ハリルホジッチが求める“縦の攻撃のスピード”

その後は、ピッチの半面を使った12対12+2GKへ。ゴールは通常ピッチで言うところのハーフウェイラインとゴールラインに2つずつ置かれ、招集された4人のGK全員がゴールを守る。2タッチ制限で逆サイドに攻め残ることは許されず、ハリルホジッチの指示によって強制的に全員がワンサイドへスライドする。

なおかつ、GK川島永嗣がロングキックを蹴り出した瞬間、「ロングキックはなし!」と声が飛んだ。かなり狭くなったスペースの中で、いかに動き続け、グラウンダーのパスを使ったコンビネーションを発揮できるか。その点が重視されたようだ。

相手によって戦術を使い分けるハリルホジッチだが、日本のベースという意味で、たとえばアーセナルやドルトムントに見られるような、“縦の攻撃の速さ”を追求するのかもしれない。

たとえばドルトムントでは、1トップと2列目の計4人が幅を取らず、中央に寄った中で、スピード感のあるコンビネーションを志向する。これを日本代表がやってみたらどうだろうと、以前から筆者は考えていたので、もしも実践されるのなら、非常に楽しみではある。

となると、鍵を握るのは、やはり香川真司だろう。小柄な日本の10番は俊敏性や細かいテクニックなど、日本人選手の長所を最大化したプレーヤーと捉えられる。

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