2015.03.25 Wed

Written by EDGE編集部

アジア

【インタビュー前編】18ヶ国でプレーした男、伊藤壇が求めた新天地はブータン

写真:Tatsunari Honda

近年、アジアの国々でプレーする日本人が急増しているが、この人は先駆けと言っていいだろう。伊藤壇、39歳。大学卒業後、ブランメル仙台でプレーを始め、日本、シンガポール、オーストラリア、ベトナム、香港、タイ、マレーシア、ブルネイ、モルディブ、マカオ、インド、ミャンマー、ネパール、カンボジア、フィリピン、モンゴル、ラオス、ブータンと、18の国・地域のリーグでプレーしている。今回はブータンへ旅立つ直前にインタビューを敢行。新天地へ渡る経緯を語ってもらった。(文・写真 本多辰成)

――近日中に、18リーグ目の国となるブータンへ旅立つそうですね?

伊藤:はい、その予定です。南アジアなどは環境的に厳しいところも多いので、できればバンコクのような環境のいいところにギリギリまでいたいんですけど(笑)

――今回のブータンリーグ・ティンプーFCへの入団は、どのような経緯で決まったのですか?

伊藤:ブータンに関しては、ブータンの国王が来日したとき(2011年11月)からターゲットの一つとして考えていました。もともと国の存在は知っていましたけど、親日的な国だということもわかって興味を持ったんです。

――その頃から、ブータンリーグへのアプローチを?

伊藤:ここ最近、ブータンは代表監督がずっと日本人(注 2008年以降、行徳浩二、松山博明、小原一典、築舘範男が指揮)なので、紹介していただいてコンタクトは取っていました。それで、3年くらい前にも一度、ブータンのチームと話がまとまりかけたことがあったんです。でも、ブータンのナショナルスタジアムの芝を張り替えるということで「ちょっと待ってくれ」となって、そうこうしているうちに別の国の話もあって、その時は流れてしまいました。

――昨年、ラオスでお会いした際には「次はスリランカを考えている」ということでしたが。

伊藤:そうですね、スリランカも行こうと思えば行ける状況でした。ただ正直、スリランカやカンボジアなどは現状、待遇的な面でサッカー選手の給料じゃないんですね。他の可能性も探ろうと思って、1月にはバングラデシュにも行きました。1週間くらい練習参加したんですが、「契約する前に登録だけしてほしい」と言われて、ちょっと怪しいなあと。もし登録だけして契約できなかったら、動けない状況になってしまいますからね。

――その段階で、改めてブータンという選択肢が出てきたんでしょうか?

伊藤:バングラデシュは生活環境的にも厳しいところがあって、ちょっとこの国から出たいなと思い始めた時に、近場でブータンがあることを思い出して。ブータン代表の監督をされていた小原(一典)さんに連絡してみたところ、開幕は4月だということで、けっこうすぐだなと。ただ、小原さんはちょうど任期が終わったところだったので、他にもアンテナを張らないといけないなと。

――最終的には、どういう形でティンプーFCとコンタクトが取れたのですか?

伊藤:その少し前に、インドのプネーFCでプレーしている末岡龍二と和泉新がブータンで行われた『キングスカップ』に出場しているというのをフェイスブックで見て、彼らにも「ちょっと情報収集しておいてくれない?」と連絡していたんです。それで末岡に連絡してみたところ、「ちょうど今、僕のチームにブータンのチームの関係者が研修に来ています」と。それが、ティンプーFCだったんです。

――それは、まだバングラデシュにいる時の話ですよね?

伊藤:はい。それで、彼を通してCV(経歴書)やプレーの動画を送ったところ、彼がプッシュしてくれたのもあると思いますが、OKということで話が進みました。自分の性格上、その話がなければバングラデシュで必ず契約を掴んでやろうとねばったと思いますが、「別の話があるから」と断って一旦日本に帰国して。日本からインドにいるティンプーFCの代表と、フェイスブックのメッセンジャーを使って契約の詳細を打ち合わせていきました。

――そうすると、まだブータンには一度も行っていないんでしょうか?

伊藤:そうなんです、明日初めて行きます。昔はCVを現地に持っていかなければいけませんでしたけど、今はフェイスブックやツイッターでコンタクトを取ってメールでCVや動画を送って、ということが可能なので。契約書へのサインも、今はiPadに書く形ですからね。場合によっては、一度も合わなくても契約可能なんです。時代は変わったなあ、と思いますね。

――それは驚きました、本当に「時代」ですね。ところで、ブータンリーグというのは馴染みがありませんが、どんなリーグなんでしょう?

伊藤:正直、僕もまだ詳しいことはわからないんですが、ここ数年で外国人を獲り始めたみたいです。ティンプーFCは新しくできたチームで、監督もイタリア人を招聘してこれから強化しようしているようです。まず4月、5月にティンプーリーグという地域リーグを7チームで戦って、上位4チームがナショナルリーグに進むという形です。

――今回も、リーグ初の日本人ということですが。

伊藤:最初に行く人は本当に責任重大なんです。これまでも僕自身、前に所属していた日本人が良かったためにやりやすかったこともありましたし、逆に前の日本人が良くなくて、マイナスからのスタートという経験もあります。僕次第でブータンでの日本人の印象や評価が決まってしまうので、責任は大きいですね。(後編に続く)

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