2015.02.14 Sat

Written by EDGE編集部

アジア

「シンガポール2部リーグのGMを務め、1年目でリーグ優勝を達成」 GFA代表・中村彰宏(対談後編)

エッジ1

写真:Football EDGE

サッカーとともに生きる人を紹介する『エッジな人々』。前回に引き続き、ゲストはシンガポールサッカー界で活躍する中村彰宏さんです。中村さんは現役選手をしながら『グローバル・フットボール・アカデミー(GFA)』という組織を立ち上げ、シンガポールでサッカースクールを開始。3人の生徒からスタートし、いまでは500人を越える会員を抱えるほどに成長しました。2014年末にはシンガポールのホーガン・ユナイテッドFCと業務提携を結び、1部リーグの経営と強化を担当するとともに、日本人選手をシンガポールリーグでプレーさせるなど、様々な活動をしています。

サッカーコンサルタントであり、アーセナルサッカースクール市川の代表を務める幸野健一さんが聞き手を務める「エッジな人々」。対談第一回目(後編)をお届けします。

幸野:中村さんが代表を務める、『グローバル・フットボール・アカデミー』はいつできたのですか?

中村:2005年です。当時はアルビレックス新潟シンガポールで選手兼スクールマスターをしていたのですが、契約満了になったのをきっかけに、現地のクラブからオファーをもらいました。最初はバレスティアカルサというクラブの監督のスクールから派生する形で始まりまして、徐々に人数が増えていったのでチームを作ることになり、いまに至ります。最初は週2回のスクールから始めて、いまは毎日練習をし、試合もやっています。

幸野:私は日本のアーセナルサッカースクール市川の代表ですが、シンガポールには『アーセナル・シンガポール』もありますよね?

中村:あります。うまい子はアーセナル・シンガポールに行きますね。うちのスクールに来てくれているのは、全部で500人ほどなのですが、シンガポール人は1割ほど。あとは日本人です。

幸野:そんなに日本人がたくさんいるんですか。驚きました。

中村:シンガポールには、日本人が3万人ぐらいいるんですよ。

幸野:日本の場合、スクールとして活動していると、登録の関係上、公式戦に出場することができません。スクールだけに通っている選手は試合経験が不足するのですが、シンガポールはどうですか?

中村:シンガポールには登録という概念がなくて、大会単位で考えるんですね。なので、その大会にエントリーすれば参加できます。

幸野:そのほうが自由度が高くていいですね。日本の場合、ジュニア年代で全日本少年サッカー選手権のようなトーナメントの公式戦が多すぎます。日々の試合に追われて練習や試合の強度が下がったり、子どもたちが『サッカー漬け』になってしまう弊害も出てきています。真の意味でプレイヤーズファーストを目指すのであれば、制度面や環境面が、果たしていまのままでいいのかを考える必要があると思います。

アジアの持つ潜在能力を日本サッカーに活かす

幸野:グローバル・フットボール・アカデミーは10年かけて会員を増やし、去年トップチームを持つまでになったんですよね。

中村:去年の4月にスポルティング・ウェストレイクという2部のチームを買収し、1年目で優勝することができました。私はゼネラル・マネージャーで、オーナーはチームのメインスポンサーの方です。

幸野:2部で優勝すると1部に上がれるんですか?

中村:それが、シンガポールの2部リーグには昇格・降格制度がないんです。ただ、ある程度の資金があれば1部に上がれるので、ひとまずホーガン・ユナイテッドという1部のチームと提携をして、シンガポールの1部リーグを経験しようと。それで昨年末に業務提携をしました。

幸野:他にはどのようなチームがあるのですか?

中村:シンガポール人のチームが全部で6つあります。海外から参戦しているチームはブルネイ人のチームが1つ、マレーシアのU-21代表、シンガポールのU-23代表、日本人だけのチームとしてアルビレックス新潟シンガポール。合計10チームです。我々のホーガン・ユナイテッドはシンガポール人のチームですが、外国人枠5人がすべて日本人、アシスタントコーチに私が入っているので、日本化したチームになっています。

幸野:シンガポールリーグはユニークなリーグですよね。各国の実験場と言いますか、過去には韓国、アフリカ、中国、フランスのチームもありましたよね。中村さんが取り組まれていることは素晴らしいことだと思います。いまは日本人がアジアの国に行き、クラブを持つ人が増えてきています。その経験を日本サッカーに還元して、各国とのパイプを作ることが、最終的には日本サッカーを盛り上げ、強化につながると思います。今後の夢はどのように描いていますか?

中村:日本の選手をシンガポールに連れてきて、多くの選手にプレーしてほしいと思っています。いま、うちのチーム(ホーガン・ユナイテッド)には5人の日本人選手がいます。あとは、スタジアムに日本人がもっと来てくれるようになるとうれしいですね。

幸野:リーグの観客動員数はどのぐらいなのですか?

中村:平均で1000人ほどです。アルビレックス新潟シンガポールは多くて、1500~2000人ほどいます。チームとしての目標は3~5年で1部リーグで優勝し、AFCカップやアジアチャンピオンズリーグに出場したいと思っています。個人的にはチームの運営や強化といった、ゼネラル・マネージャー的なことにも興味がありますし、日本とシンガポールの間でアジア人選手を行き来させることにも取り組んでいます。

幸野:中村さんのような人が増えていくのは、日本サッカーにとっていいことだと思います。Jのマーケットがシュリンクしていく中で、アジアの他の国と協力してやっていかないと未来はないと思っています。タイのプレミアリーグを視察に行ったとき、クラブのオーナーがとてつもないお金持ちで、チーム強化に私財をつぎ込んでいるのも目にました。アジアには僕らの感覚を超越するお金持ちがたくさんいて、経済的にも十分な潜在能力があります。アジアの多くの国が、サッカーがナンバーワンスポーツですからね。彼らの持つパワーやパッションをつなげていくことが、日本サッカーの発展にもつながると思います。今後の活躍を期待しています。ありがとうございました。

中村:ぜひシンガポールにも来てください。ありがとうございました。

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