2015.01.12 Mon

Written by EDGE編集部

高校&ユース

決勝コラム『いつも自分の後ろに敵がいた』高校サッカー 星稜 4(延長)2 前橋育英

写真:Kishiku Torao

第93回全国高校サッカー選手権は、石川県の星稜高校が初優勝を勝ち取った。一度は逆転を許しながらも、追いつき、延長で競り勝つ戦い。そんな粘りのプレーの象徴として、「サボらず守備に奔走し、なおかつゴールも決める」現代サッカーの理想とされるFWの姿があった。(取材・文 川端暁彦)

「いつも自分の後ろに敵がいた」。前橋育英の主将、MF鈴木徳真は独特の表現で星稜の執拗な守備を讃え、「本当に素晴らしいチームとやれてよかった」と結んだ。

ボランチである鈴木の背後に敵がいるというのは、星稜のFW2人がサボらずにプレスバックを繰り返していたことを意味している。「ウチのFWは本当にサボりませんから」と主将のDF鈴木大誠が自慢げに語ったように、FWの守備は今大会の星稜を語る上で外せない生命線だ。

実際、試合は忠実な守備を見せる星稜が主導権を握る形となった。先制ゴールは11分、相手DFのバックパスを抜け目なく狙っていたFW大田賢生のインターセプトから。大田がGKに倒されて得たPKをMF前川優太が決め、前半は星稜ペースとなった。

後半に入ると「自分たちのサッカーができるようになった」前橋育英も持ち直し、後半8分には2年生FW野口竜彦がGKのロングボールを受ける形で同点ゴールをたたき込む。さらに続く10分にはMF渡邊凌磨が縦へのドリブルで左サイドへボールを運ぶと、鮮やかに切り返しから逆サイドネットへと巻いて蹴り込む高難度シュートを決めて、2-1。前橋育英が試合をひっくり返した。

そして、星稜はここで落ちなかった。失点直後に組んだ円陣で「決めるから」「任せておけ」と大田と森山泰希の2トップが言い放つ。誰よりもチームのために走り、体を張っている2人の言葉には特別な説得力がこもるもの。DF高橋佳大は「どうせ、こいつらが取ってくれるだろうと思っていた」と言う。

そして後半19分の同点弾はCKからの逆襲の流れで右SB原田亘が左サイドにいるという少し意外性のある形で生まれた。前橋育英・渡邊に出し抜かれるゴールを許して責任を感じていたDFがゴール前で走りきると、そこに大田がピンポイントのクロスを合わせて、試合は再び振り出しに戻った。

迎えた延長戦、決勝戦も愚直に頑張る星稜FWらしい形からだった。延長前半5分、スローインに対して処理を誤った前橋育英側の、本当に一瞬のスキを見逃さない。ボールを奪った森山が左足シュートを突き刺して、ついに逆転。終了間際にも森山が1点を加えた星稜が4-2の快勝となった

星稜の勝因を一つに限定することは、もちろんできない。ただ、先のワールドカップでもあらためてクローズアップされた「走る」というサッカーの原点に関わる部分で、星稜が抜きん出ていたことは確かだろう。

 

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